大学でICT4Dは人気減少中?でも社会のニーズは増加中?

3. その他

こんにちは、Kanotです。ちょっと最近感じるモヤモヤを書きたいと思います。それは、「ICT4Dのニーズはどこにあるのか?もしくはないのか?」ということです。

ことの発端は、とあるアメリカの大学教授と話をした時に、IT系の学部ではICT4D関連の講座の受講者は明らかに減少傾向にあり、十分な人数が集まらなくなっていると聞いたことでした。実は類似の話をイギリスでも聞いたことがあり、とある著名なICT4Dの研究者が担当する講座が、登録人数が少なかったがために開講されなかったという話を聞きました。

つまるところ、ICT4Dのニーズは減少傾向にあるのでしょうか

一方の国際開発業界では、プロジェクトへのテクノロジーの活用としてイノベーション・DXなどのキーワードが飛び交っており、ちょっとしたブームの様相を呈しています。この流れは世界銀行のDevelopment ReportなどでもICT関連のトピックが頻発していることからも、世界的な流れだと思っています。

つまるところ、ICT4Dのニーズは増加傾向にあるのでしょうか

この2つの矛盾したICT4Dのニーズを、どう考えればいいのでしょうか。(それがわからないからモヤモヤしているわけです・・・。)

この記事では、まずは大学でICT4Dニーズが減少傾向にある理由を考えてみたいと思います。

大学について最近感じることは、IT系の学部はどんどんProfessonal School化しているような印象があります。特に大学院に来る学生たちは、現在の仕事などを辞めて、高額な授業料を払って来ているので、「投資を回収するために」給料が高くなることにつながる講座が人気が高いです。

IT業界は特に「金になるスキル」と「金にならないスキル」がわかりやすいので、もちろんその気持ちはよくわかります(MBAもきっとそういった傾向があるのではと推測します)。

ただ、大学で学ぶことって、本当に業務ですぐに役立つスキルだけでいいのかな?とも思ったりします。先程の「ICT4Dの授業に人数が集まらない」と嘆いていた先生は、同時期にUX(ユーザ・エクスペリエンス)の講座も担当したそうなのですが、そっちはソッコーで満席になったそうで、「なんだかなぁ」と言っていました。

Professional School化と書くと聞こえはいいですが、プログラミング、デザイン(UI・UX)、データサイエンスなどは「ものの使い方」を学ぶ講座です。ハードスキルと呼ばれるものですね。これらは極論すると大学でなくても独学やオンラインでも学べることが多いです。

一方、ICT4Dのコースなどは「ものの考え方」を学ぶ講座です。これらは短期的な視点では役に立たないのかもしれませんが、教養や課題解決能力の一部として、長期的な視点では血となり肉となる内容だと思います。これらは授業を受けたり議論をしたりするなかでの「気づき」を通じて学んでいくことだと思います。

おそらく、多くの大学教員は「ものの使い方」ではなく「ものの考え方」を教えたいと思っているはずです。そっちの方がドラマもあり、教訓もあり、深いですからね。でも、学生からは短期的に役に立つもの、マーケットニーズが高いものを求められています。

このギャップはなんなんでしょうね。社会としては、課題解決能力のようなハードスキルじゃないものが重要と認識されていても、個人としてはどうしてもまずはハードスキルを得ることに必死になってしまうという構造なのでしょうか。

それともそれが大学という教育機関の限界なのでしょうか。まぁ大学はその2つのバランスをうまく組み立てていくのが腕の見せ所なんですかね。

現時点では答えのない悩みですが、数年後に読み返した時用に記録として残しておくべく、記事にしました。同じく最近よく考える「ICT4Dの専門性ってなんだろう?そんなのあるの?」みたいな悩みにも通じるものがあります。私のモヤモヤにお付き合いいただき、ありがとうございました。

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