バングラデシュが日本・アジアのIT資格試験に正式加盟

アジア・大洋州

 バングラデシュにて私自身が担当しているIT資格試験(ITEE: IT Engineers Examination)導入支援について、過去の投稿などでお伝えして来たが、2014年9月1日についに日本及びアジア6カ国(ベトナム、フィリピン、タイ、モンゴル、マレーシア、ミャンマー)と相互認証する協定書にサインするという大きな目標を達成することができた。

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この支援、JICA技術協力プロジェクト「ITEEマネジメント能力向上プロジェクト」は、JICAの派遣する専門家2名に加えて、日本で情報処理技術者試験を実施している独立行政法人であるIPA(情報処理推進機構)にも全面的に協力をしてもらった形で実施している。

バングラデシュのIT人材は、アジア最低レベルの賃金に加えて英語が話せるエンジニアが多く、ヨーロッパなどからのIT貿易は多く行われて来ている。一方で、対日本という観点では、日本語能力の低さが障壁となり、いまだ大手のオフショアなどによる進出はなされていない。しかし、ネクストチャイナ・ネクストインディアが求められる中、2014年に行われたハシナ首相の来日・安倍首相の来バの影響もあってか着実にIT企業の来訪も増えている状況である。

資格試験に話を戻すと、ITEEの相互認証協定にサインするためには2回のトライアル試験を成功させ、ITEEを実施するITPECという実施6カ国にて運営される団体に7番目の参加国として認められる必要がある。首都ダッカで行われた加盟式典には、郵政通信IT省の大臣・副大臣をはじめとするバングラデシュのメンバーに加えて、日本からもJICA・大使館に加えて経産省の審議官やIPAの理事も来バ、それに加えてITPEC加盟6カ国の代表も参加し執り行われた。

この試験は日本では情報処理技術者試験として実施され、毎年数十万人が受験するという大規模のIT資格として運営されている。一方で、アジア各国では合計でも年間数千人規模に留まるのが現状であり、日本ほどの普及は見られない。バングラデシュではこの資格を日本とITビジネスを目指す企業・人のみならず、「日本の資格への加盟」ではなく「バングラデシュの国家資格」として広く普及を目指して欲しいと思う。

プロジェクト後半であるこれから一年強をかけ、試験料にて運営して行けるビジネスモデルの構築、きちんと資格試験として運営して行くための運営体制の構築など課題はまだまだ多いが、大きなスタートラインに立った今、バングラデシュの自主性を育てながらプロジェクトを実施していきたい。

参考:IPAプレスリリース「バングラデシュ人民共和国が新たに「ITPEC」に正式加盟しました」

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Kanot
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コメント

  1. Ozaki Yuji より:

    遅ればせながら、おめでとうございます。
    これで、日本の入国管理制度の緩和条件が使えるようになりますね。

  2. Kanot Kanot より:

    Ozakiさん、ありがとうございます。
    ビザ緩和はその通りですね。ただ、日本とのITビジネスはまだASEANに比べて弱いのが実情で、私個人的には早くITパスポート試験を入れて、国内での裾野を広げ、国内で国家試験としてのブランドをあげていきたいと思ってます。

  3. […] そしてその成果はどうだったか?というと、国家試験としての導入には成功したものの(過去記事)、本邦企業の進出や本邦企業からの採用という観点では、まだまだこれからという状況であった。オフショア開発(日本などでITサービスの設計をして、外国で開発すること)の条件として「日本語で発注したい」というニーズや、中国やベトナムと比べIT系の大企業が少ないことなどもあり、悔しい思いをしたことも多かった。 […]

  4. […] こんにちは、Kanotです。私がバングラデシュに駐在していた2012年〜2015年に担当していたプロジェクトに、バングラデシュにIT国家試験を導入しようというものがありました(関連投稿1、関連投稿2)。 […]

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