バングラデシュでデジタル人材育成について講演してきました

アジア・大洋州

For English readers, please read the article on my presentation in Bangladesh.

こんにちは、Kanot(狩野)です。2022年9月に、以前駐在していたバングラデシュに3年ぶりに里帰りしまして、ICT政策&デジタル人材育成について講演をしてきましたので、備忘録も兼ねて簡単に報告したいと思います。

今回バングラデシュを訪問したのは、外務省の講師派遣事業という形でした。講師派遣事業とは、「日本の政策や日本の政治、経済、社会情勢等に対する諸外国での理解の促進を目的として、当該分野の我が国の有識者に海外で講演会等を行っていただく事業」とのことで、今年のテーマだった「バングラデシュ x デジタル人材育成」にたまたま私がフィットしたようで、お声かけいただきました。

講演「バングラデシュと日本を結ぶICTの橋」

到着して2日目の午前中がいきなり講演会でした。大使館がアレンジ&人集めをしてくれていたのですが、事前申し込みが思ったより多く、100人程度と聞かされていました。一方、昨今の無料イベントの集客の経験から「実際に来るのは、いいとこ60人かなぁ」などと思いながら、会場のICT庁に向かいました。

しかし、いざ会場に行ってみると、なんと合計100名強のバングラデシュ人が参加してくれて、これはとても嬉しい誤算でした。参加してくれた方々も、事務次官を含む政府関係者が30人程度、民間・大学関係者が30人程度、そして大学生が40人程度と非常にバランスもよく、私もいい緊張感を持って講演をすることができました。

講演の内容は「ICT Bridge between Bangladesh and Japan」という(ベタな)タイトルで、日本とバングラデシュのICT関連の政策や歴史、そしてデジタル人材に関する最新のトレンドなどを話しました。以下が主なトピックとメッセージでした。

  • 日本の政策はスマートなデジタル社会を目指す(Society 5.0)と同時にWell-beingに舵を切りつつある
  • 最近のデジタルスキルに関するトレンド分析結果
  • 日本がSmart Bangladeshに向けたICT Master Planを支援したが、未だ未承認のため、早く政府内で承認して欲しい
  • Global ICT workerにはHard skillだけではなく Soft skillが必要不可欠
  • Soft skillの獲得、特に文化理解には、海外を実際に経験することが重要
  • デジタル人材の海外経験は巡り巡ってバングラデシュのICT産業開発に貢献する
  • 日本がこれまでデジタル人材育成に関する支援を継続してきた(JOCV -> ITEE -> B-JET)
  • 日本とバングラデシュはデジタル人材を通じてWin-Winな関係になれる
  • ITEE/B-JET/B-MEETの紹介
  • 「若者よ、君たちが日本とバングラデシュのICT Bridgeとなるのだ!」

質疑応答でも、多くの人が手を挙げてくれて(このあたりは日本とだいぶ違いますね)、次回いっぱいまでディスカッションすることができました。

講演の終了後も、政府・大学関係の人生の先輩方から学生たちまで、何人もの人たちが「一緒に写真撮ってください」と言ってくれたり、感想を伝えてくれたり、これは対面でなければなし得ない国際交流の一つでもあるのだろうなと思い、わざわざコロナ禍を押して、ダッカまで講演に行った甲斐があったなと思わせてもらいました。

人生初の記者会見

その翌日には、大使館が記者会見をセットしてくれて、National Press Club(国立記者クラブ)という駐在時代には足も踏み入れたことがない場所で、複数の記者から、日本とバングラデシュのICTビジネス・人材に関する質問を1時間ほど受けました(その後、なぜか記者さんと一緒にお茶を飲んで雑談したのは、とてもバングラデシュらしい展開)。

まさか自分が謝罪会見以外で記者会見をすることになる日が来るとは夢にも思ってもいませんでしたので(しかも外国で)、とても貴重な経験になりましたし、「何を聞かれるのだろうか・・。英語でうまく返せるかな・・」と講演よりよほど緊張しました。

以下のリンクは、その記者会見をもとに記事化されたものです。タイトルは「Japan needs young engineer, Bangladeshi ICT engineers can fill the gap(日本は若いエンジニアを求めていて、バングラデシュのICT人材はそのギャップを埋めることができる)」となっていました。いくつか僕の意図とは違って伝わっている部分もありますが、主なメッセージとしては正しく伝わる記事になっているのではと感じています。

Japan needs young engineers, Bangladeshi ICT professionals can fill that gap
Bangladesh and Japan can develop “ICT bridges” as the latter faces shortage of young ICT engineers, says a Japanese expert.

さいごに

この場を借りて、今回の出張を企画・サポートいただいた外務省の宇野さん、在バングラデシュ日本大使館の田部井さんをはじめとするスタッフの方々にはお礼を申し上げたいと思います。貴重なご機会をありがとうございました。

今回の講演や記事で少しでも日本とバングラデシュのICTビジネスの活性化やデジタル人材の交流に繋がることを願っていますし、今後も積極的に関わっていきたいと思っています。

以下の写真は講演会にもご参加いただき、素晴らしい紹介スピーチいただいた伊藤大使(右)と、各種アレンジいただいた田部井さん(左)との一枚です。

おまけ:前回渡航(2019年)と比べて感じたこと

久々のバングラデシュへの到着後は「空港が少し明るくなったかな?」「空港出た感じは変わらないなぁ」とか前回渡航(2019年)と比較しながらホテルに向かいました。

まず、最初に驚いたのはタクシー配車で有名なUberでした。2019年の時は、バングラデシュでUberが使えるようになっていて驚いたのですが、今回も何気なく立ち上げてみたら、なんとタクシーのみならずCNG(天然ガスで動く三輪の乗り物)も使えるようになっていました。

これは、単にUberがCNGに対応したことに驚いたというような単純な話ではなく、CNGの運転手という一般的に低所得・低学歴な人たちもスマホを持って使いこなし始めているという事実に驚いたのであり、経済成長の一部を感じ取ることができました。

また、もう一つ驚いたのが、Aarongというお土産屋さん。こちらは現地NGOのBRACが運営するお店です。バングラデシュにいたことがある人は知っていると思うのですが、以前は「いい感じのフェアトレード系お土産屋さん」だったのですが、今はもはや高級ブティックのようになっていました。隣接のカフェにはおしゃれなサリーを着た女性が優雅な昼下がりを過ごしており、まるで別世界でした。

これをNGOが運営しているというのが斬新で、お金を有るところからしっかり稼いで、それで得た利益を慈善事業に回すという徹底した戦略にとても感心しました。

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