こんにちは、Kanotです。現在アメリカで「ポケモンGO」(10日前に公開されたスマホアプリ)が社会現象とも呼べるブームになっていることは連日報道されている通りである。私自身もアプリをインストールしているが、ゲームの世界と現実世界が一体になった新しいスタイルのゲーム(AR(拡張現実)と呼ばれる技術)に、ゲームの新しい時代が来たと感じる。
さて、そんな中、ICTworksに「ポケモンGOが途上国開発(特にDigital Development)にどのように関連するか」という記事を見つけたので私見も述べつつ紹介したいと思う。(写真は当該記事のもの)
まずは記事の概要から。
- ポケモンGOの良い点
- 広い範囲で影響力を持つ
このゲームは公式には先進国だけが現時点(2016年7月)では対象になっているが、USAID(アメリカの政府援助機関)のサポートによってエジプト、エルサルバドル、フィリピン、グァテマラにおいてもサービスが提供されている。対象が スマートフォン保持者に限られることもあり、比較的所得の高い層が対象にはなってしまうものの、広い範囲で影響力を及ぼす可能性を秘めている。 - ゲームがコミュニティを作り、教育を促進する
このゲームの特色である外に出て動き回ることが他の人とコミュニケーションをとることにつながり、共通の課題解決に一役買う可能性がある。 - 新たなローカルビジネスの可能性
企業やドナーが人を集める手段としてポケモンGOを活用することは十分想定できるし、それが途上国の観光戦略などに影響を与える可能性がある。
- 広い範囲で影響力を持つ
- ポケモンGOの問題点
- GPSを常にONにしてアプリを起動しながら使うアプリなので、途上国で普及している性能の低いスマートフォンでは電池消費などの観点で問題が発生するのではないか。
- アメリカでも言われていることだが、今後誘拐や強盗などの犯罪などに利用される可能性は十分想定される。
- 結論
途上国においても携帯電話の普及、特にスマートフォンの普及が急増していることもあり、この新しいタイプのコミュニケーション、ユーザの関わり方、ゲーム手法は、開発においても新しい発想やインパクトを与えうる可能性は秘めている。
以上がICTworksの投稿内容の要約である。まぁ先進国にも当てはまる一般論を述べているという印象で、そこまで斬新な切り口は見当たらなかったが、USAIDがポケモンGOを途上国で展開という話は非常に気になるところである(USAIDのWebサイトなどでは詳細は見つからなかった)。彼らがどのような理由でそのプロジェクトに取り組んでいるのか今後も追っていきたい。その一方で、このようなAR (現実世界とバーチャル世界の融合)が新しい形のコミュニケーションや学びの形につながっていく可能性は非常に大きく、今後どのような形で(ポケモンGOに限らず)この技術が発展していくか、注意深く見守っていきたい。
コメント
いや〜、そんなことになっているとは驚き。USAIDすげーなーという驚きと、任天堂が日本(JICAや経産省)とのコラボではなくアメリカとのコラボで、またUSAIDにしてもアメコミというブランドを持ちつつもアイアンマンやX-men、ディズニーなどのキャラでなくポケモンをコラボする点に、まさにグローバル化というか、斬新さを感じました。
ほんとそうですよね。私も「なんでJICAでなくUSAIDなんだ・・」とは思いました。ただ、このゲームは任天堂(ポケモンカンパニー)とGoogleから独立したNianticのコラボであるため、アメリカを拠点に開発が進められた経緯もあるんだろうなとは思っています。もはやポケモンは日本は飛び出して世界のポケモンになってはいますが、日本人としては嬉しいですよね。先日うちの息子は学校で同級生にPokemonの発音は「ポケモン」ではなく「ポキモン」だと直されたそうです(笑)
今後はJICAも勝ち馬に乗ってアチコチにPokemonマーカーを設定するのかもしれないですね。
USAID的には、社会動態分析や保健医療(おもに予防医学・ウェルネス)、個へのゲームを通じた情報提供(期間限定で役所にマーカー打つとか)など、個人ベースでデータが動く双方向的なセンサーネットワークプラットフォームのひとつとして捉え、これを「イザとなったらコケても仕方ない」商用ゲームという舞台で実験するならばヨシ、なのかもしれないですね。
Pokemon GOのベースであるIngressの時点で、任天堂の中の人も含めて(もしかしたらUSAIDの中の人にも)かなりヤリコミな人たちがいたようなので、任天堂さんもある程度の成功は見込めていたのかも。
http://ingressblog.jp/hanno-real-guardian/
USAIDやUNESCOがゲーム開発に金を出し、盛大にコケつつもその応用を探り続けていたのも新しい話ではないようですし。
http://technologysalon.org/6-considerations-for-successful-serious-games-for-development/
※余談ですが、このURLの『4. Donors must be realistic about the game development process』にはクスッときました(ゲームに限った話じゃないですよね)。
今回使われているかどうか不明ですが、USAIDのグローバル開発アライアンス(GDA)は、『自分で値付けができるモノとバリューチェーンを持っている』組織や企業にとって面白い制度に仕立てているように見えます。同じやるなら、水は低きに流れる(開発や普及に関係ないところでの手間や資金損失を避ける)と。
落ち着いてICT worksの本文を読むと;
“Pokemon Go is being played in Egypt, El Salvador, the Philippines and Guatemala – all places with USAID presence. ” とあるので;「Pokemon GOは、エジプトやエルサルバドル、フィリピン、グァテマラなど、USAIDが活動している(USAIDがプレゼンスのある地域=発展途上国)国々でも展開されている」と読めますね。
USAIDがすでにゲーム展開に関与しているのではなく、USAIDの活動地域とゲームの展開地域が重なっているので、何かできる可能性があるよね、という文意でしょうか。
決して安くはないスマートフォンをプラットフォームとし、しかもGPSとデータ通信を常時使うARゲームの展開地域(ユーザー数が見込めるということ)が、USAIDの活動エリアに重なるなんて、ちょっと前では考えられなかったわ…って感じなのかも。
実はUSAIDの件は私も裏が取れなかった(USAIDのサイトなどでは情報が見つからなかった)ので、あくまで記事を紹介するに留めています。少なくとも私が記事を書いた時点では、途上国で開始しているところはなかったはずなので、もしこの記事が本当なら、USAIDと提携して特別に・・となるはずです。いずれにせよ、ARなどが途上国開発と絡んでくるなんて数年前までは想像もつかなかったので、今日本で話題になっているディープラーニングなども含めて今後どのように活用されていくのか楽しみですね。