[論文出版!] バングラデシュIT人材のキャリア観は開発のトリガーに?

アジア・大洋州

こんにちは、Kanotです。私の書いた論文がInformation Technology for DevelopmentというICT4D系のジャーナルに掲載されましたので、シェアさせてください。以下が論文へのリンクです。

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この論文では、バングラデシュのITを専攻する大学生591人に対して実施した、キャリア観に関するアンケート調査を元に分析したものです。概要を以下の通り訳してみます。

サクセニアンの頭脳循環理論は、開発途上国から海外に流出した人材が自国の発展のために帰国した時に、どのような影響があるかを説明しているが、どのような人材が何を求めて海外を目指すのかについてはあまり言及されていない。我々はこの点を、バングラデシュのIT分野の大学生の海外に対するキャリア観に焦点に当てて考察する。591人のITを専攻する大学生への調査を元に分析すると、学生のキャリア観は、英語を母語とする先進国で働くことを目指すグループと、バングラデシュ国内のIT企業で働くことを希望するグループに、大きく二分されることがわかった。また、その2つのグループの差異は両親の所得、大学のレベル、性別、そしてロールモデルの存在と相関関係があった。我々はまた、両親の収入が「生徒が仕事に対して何を期待するか」を予測する要素となることがわかった。得られた結果は、バングラデシュのIT頭脳循環を促進するための介入への提言とともに、社会認知キャリア理論を元に考察された。

Kano et al. (2021) Abstract 仮訳

日本に関する点としても一点触れておきます。この研究を始めたきっかけは、バングラデシュに駐在していた時、「バングラデシュは親日国であり就職先としても大人気」といったデータを見て、「ほんまかいな?」と思ったことでした。今回の結果では、海外を目指すIT人材の4割以上がアメリカを第一希望とし、日本を選んだ人は5%に過ぎないものでした。

また、海外を目指す人材はトップ大学に大幅に偏っていて、トップ大学に所属し米国就職ができると思っているグループと、トップ大学以外で国内勤務が妥当だと思っているグループが大勢を占めるという結果にもなりました。

B-JETなどでバングラデシュIT人材が多く日本に来ているといった実績も出ていますが、まだまだ氷山の一角であり、そうやって母国語以外を使って日本で働くことに興味を示してくれている人材は、日本としても大事にしなきゃなならないですね。

余談ですが、なんで論文をブログとかで紹介しようとすると、こう堅苦しい感じになってしまうんですかね・・・。これは大きな課題だと思います。(実際に堅苦しいからなのかもしれませんが・・)

上記HPから全文へのアクセス権がない方(非アカデミアの方)、私のHPから最終稿をダウンロードすることができます。合わせてご利用ください。

Publications
Publications Refereed Full Papers Kano, T., Ishikawa, K. (2024). Lessons Learned from EdTech Integration during the COVI...

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