エチオピアとICT4D

アフリカ
Source: https://afri-quest.com/archives/25290

ども、Tomonaritです。2月の国際開発ジャーナルの特集をみて、「お!エチオピアだ!」と思って中身をみると、結構ICT4Dっぽい話が満載でした。「ここに出てくる会社とかで働くチャンスないかなぁ・・・」と思いつつ読んでましたw
せっかくなので完全に個人的な備忘録ですが、国際開発ジャーナルの特集「カギ握る若者 エチオピア 産業再生への挑戦」からいくつかピックアップします。

サファリコム・エチオピアと住友商事

エチオピアといえば通信市場を国営企業であるエチオ・テレコムが独占していたレアな国です。故に競争がなく、サービスクオリティがイマイチで、なかなかモバイルマネーも普及していない状態でした。そうえいば、無政府状態のソマリアのほうが通信環境が良いという話も過去(2009年!古い・・・!)に投稿していました。

ところがそんなのは一昔の前の話です。この記事によると、2022年春(ってもうすぐだ!)にサファリコム・エチオピアの通信サービスが開始されるとのこと。昨年、エチオピアの通信市場が開放され初の民間参入に挑むのが、住友商事やボーダーフォン・グループ(ケニアのM-Pesaをやっているサファリコム・ケニアの親会社)らから構成される共同事業体「サファリコム・エチオピア」。ここに日本企業が入っているってのが個人的には嬉しいです。記事では、サファリコム・エチオピアは、通信環境の整備だけでなく、モバイル送金・決済(M-Pesa)やスマート農業、遠隔医療、遠隔教育など他分野のDXにも取り組む予定とのこと。冒頭の画像を拝借させてもらったAfrica Quest.comにも詳しい情報が掲載されています。「いやー、通信環境がよくなってくれるのは有り難い!」とうちの奥さん(エチオピア人)も喜んでいます(笑)

そしてスゴイな!と思ったのが、サファリコム・エチオピアは2021年度から3年間、新卒の若者を毎年150人雇用するとコミットしているという点。若者に雇用を提供するとともに、現地スタッフへのノウハウ移転を積極的に進めて将来的には現地の人たちがサファリコム・エチオピアを経営していく体制にしたい、という住友商事のコメント、イイなぁ。

GOODAY

次はGOODAY Online LLCというスタートアップの紹介記事でした。お手伝いさんや日雇いワーカーと雇用主をマッチングするプラットフォーム事業を展開している現地スタートアップ。2020年9月にサービスを開始して約1年で7,000名以上のギグワーカーが登録して、2万人以上がアプリをインストールしているとのこと。これだけ聞くとありがちなサービスだなぁと思ったのですが、登録者に対するサポートも提供している点に「なるほど」と思いました。例えば、遅刻が多くてクビになりそうな登録者には、遅刻しないような指導(なぜ遅刻はいけないのか?どうすれば遅刻せずに済むのか?といった助言をしてあげる)をするなど。また、携帯を持たない、もしくはアプリを使いこなせない層にも電話でのサービスを提供しているとのこと。なるほどー。こういう細かいケアやデジタル+アナログのハイブリッドなサービスが、受けいられている理由かと思いました。

Source: https://gooday.io/#/

なお、個人的な感覚ですが、(他の国もありがちですが)エチオピアは時間にルーズな人がほんと多い(うちの奥さん含めて)。「アベシャ・カタロ」という言葉があり、「アベシャ」は「エチオピア人」、「カタロ」は「約束」の意味なんですが、いうなれば「エチオピア流の約束」つまり「約束の時間に遅れるのが当たり前」という意味。普通に遅刻して、「おそいじゃないか!(# ゚Д゚)」といっても「アベシャ・カタロなんでね、テヘペロ(๑´ڡ`๑)」みたいなやりとりを何回してきたことか・・・(奥さんと)。

話を戻すと、このGOODAYのCEOはアメリカのIT企業で働いており、米国から二足のわらじでやっているとのこと。すごいなぁ。自分も見習いたい(日本にいてもエチオピアでなにかできる)と思いました。

スタートアップ・エコシステム

アフリカでデジタル系スタートアップが盛り上がりを見せていますが(過去の関連投稿を3つほど下に紹介)、エチオピアでもその流れが来ているようです。エチオピアの首都アジスアベバには、最近、イタリア開発協力機構(AICS)と国連工業開発機構(UNIDO)が」協力して「クリエイティブ・ハブ」というインキュベーションセンターを設立したとのこと。通信環境が良くなってきて、モバイル送金・決済が普及していくと多方面から資金調達も可能になり、起業が活性化されるだろうという。とはいえ、事務所がないと起業ライセンスが取得できないとか、ソフトウェアなど無形固定資産の位置づけが不明確など、法律が追いついてないという面もあり、2021年10月末に「スターアップ法」が政府に提出されたとのこと。2021年に世界のスタートアップ調査会社であるStartupBlink社の「グローバル・スタートアップ・エコシステム・インデックス」で初めて100位にランクイン(でも100位か・・・)するなど、こんな感じで、更にエチオピアのスタートアップが盛り上がりを見せてくれそうな予感です。

JICAもProject NINJAなどスタートアップ支援をしており、JICA専門家の原さんのコメントも掲載されていました。「エチオピアのスターアップは自分が育った国や地域の社会課題の解決を第一目標に置く傾向がある」というコメントは個人的にも同意。ほんと、エチオピアの人たちって自分の国が好きだよなぁ〰って思うことがよくあります。流行りの歌謡曲で、エチオピアを褒め称える歌詞(自然が美しい、人が優しい、美男美女だ、素晴らしい国だ、などなど)が結構多いのは、日本人からすると驚きだと思います。

また、JICAは「起業相談AIチャットボットシステムを活用した起業家支援に関する情報収集・確認調査」というのもやっていて、日本でいう「起業ライダー マモル」(中小機構がやっている起業支援AIチャットボット)のエチオピア版的なのを開発しているのかなぁと思います(これ、個人的な憶測です)。完成したらダウロードしてみたいw

エチオピア国IT人材育成プロジェクトどうなった?

このブログの読者さんのなかには、ここまで読んで「そういえば、エチオピア人のIT人材育成していきたい・・・みたいな投稿が以前あったような?」と思った方もいるのではないでしょうか?そうです、以下の投稿です。

「ITエンジニアになりたい!」という私の甥っ子くん(日本在住)にプログラミングを勉強してもらい、近い将来、彼とエチオピアでなにかできないか、やりたいな、という超アバウトな計画です。上記の投稿をしたのが2019年7月でしたが、今や彼も成人しました。そして結構ガチの日本語学校(日本語以外の数学とかの教科も勉強する学校)を卒業し、高卒同等の資格と日本語能力検定のN3(けっこうむずいよ)にも合格!そして、この春からIT系専門学校へ進学することになりました!がんばれ〰!

飲食店の皿洗い、工事現場の日雇い、倉庫、ウーバー、コンビニ、そして派遣スタッフとして中小の溶接工場など、色々な仕事を経験し日本の文化にもかなり馴染んでます。日本語以外にも各種対応力が求められるコンビニでバイトできるレベルになったのは伯父としても感心してます。彼とエチオピアでなにかできる日も近いかもしれません。もし、彼のような人材に感心のあるICT4Dな会社(エチオピアで事業をしている会社)の方がいたら是非ともご連絡ください!あ、私自身もセットでお願いします(笑)

おまけ

その他、カイゼンプロジェクトのはなしや笹川アフリカ財団の農業支援の話など、すごいボリュームの特集でした。エチオピアは内戦して揉めてますが、ナイジェリアに次ぐアフリカで2番めに人口が多い国で(人口1億ちょい。日本と同じくらいですね)、今後、色々と発展が期待できると思います。人が良いし。

最後に全然ICT4Dと関係ないですが、オンラインでのエチオピア・ダンスのイベント紹介です!(なぜ!?)
興味のある方は以下のリンクを見てみてください〰。私&奥さんもちょっとだけ出ます😁

  • SDGsよこはまCITYでエチオピアダンスのワークショップが開催されます!
  • 日時2月20日(日)14:00-15:00 Zoomによるオンラインワークショップです
  • 参加無料、どなたでもご参加いただけます
  • 申し込みはこちら

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コメント

  1. AyAiraku より:

    最新事情がよくわかり、大変興味深い記事でした。甥っ子さん、N3合格おめでとうございます。コンビニでのバイトって、本当に大変ですよね。よくこなせるなあと思います。あと、アベシャ・カタロのくだりや奥様とのやりとりにほっこりしました。

    • tomonarit より:

      コメントありがとうございます! 甥っ子、頑張ってもらいたい! しかし、ホントにながらくエチオピアに行ってないので、今年は行きたいなぁ・・・。

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