社会科見学(訪問インタビュー)を実施しました!日本国内の難民問題を考える機会を作るプロジェクト「おあいこ」by PeaceTech部【002】

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こんにちは!テクノロジーの力で平和課題の解決を目指すPeaceTech部の部員のちひろです。

2021年夏に始動した我々の新プロジェクト「おあいこ」に関して、「社会科見学」にフォーカスして続報をお届けします。本プロジェクトについては、下記も合わせてご覧ください。

1. 2021年の活動の振り返り

初回の投稿から少々間が空いてしまったものの、実はその間しっかりと活動を継続してきたPeaceTech部。初回記事でのメンバー募集によって新たな仲間を迎え、現在は下記のチーム編成で活動しています(上のプロジェクトページにメンバー紹介あり!)。

  • プロジェクトマネージャー1名
  • データサイエンティスト/技術担当1名
  • ゲームシナリオライター1名
  • 脚本家1名
  • 映像クリエイター1名
  • 広報担当1名
  • IT業界/開発業界/政界等経験者等7名

新たなチームで再スタートし、「インタラクティブシネマという手法で日本国内の難民問題を考える機会を提供する」というゴールの達成に向けて、インタラクティブシネマを実現する方法や難民問題に関して情報収集を行い、コンテンツの基礎となるシナリオ案を執筆し、議論を進めてきました。

2.「社会科見学」の背景

議論を進めてきた結果、特に難民問題に関して、机上調査で得られた発見は多くあるものの、十分に情報収集できていない箇所があることに気づきました。特に難民認定制度が複雑であること、個々のケースが多様であることから、我々の調査結果と描きたい現実との間にはまだまだギャップがあるのでは?という課題が見えてきました。この課題意識をもとに、現状への理解を深めることを目的として、インタラクティブシネマで描かれる予定の「当事者」の方々への訪問インタビューを実施しました。

3. インタビュー実施先

下記の皆様にインタビューを実施させていただきました。

  • 出入国在留管理庁の皆様
  • 公明党参議院幹事長 参議院議員 谷合正明様 
  • ピープルポート株式会社の皆様

快く受け入れてくださった皆様に、再度感謝を申し上げます。お忙しい中お時間をいただき、誠にありがとうございました。

4. 「社会科見学」当日

朝早くに衆議院の議員会館に集合。秋(冬?)晴れの天気が気持ちよく、永田町のイチョウ並木が綺麗!ほとんどのメンバーがお互いに会うのはオフラインでは初めてという状況でしたが、遅れずスムーズに集合し、政党職員のメンバーの引率で日程をスタート。

永田町、国会周辺のイチョウ並木
永田町、国会周辺のイチョウ並木
永田町のイチョウ並木と議員会館

4.1 出入国在留管理庁の皆様

最初は出入国在留管理庁の皆様へのインタビューです。

まず、これまでの難民認定やその他の庇護に関する日本の取り組みについて、数字を見ながら、近年の傾向やその背景、また、日本の制度の現状や課題についてレクチャーいただきました。そして我々からも、PeaceTech部での本プロジェクトの狙いをご説明した上で、レクチャー内容や、把握しきれていなかった細かな点について質問させていただきました。

難民認定に関わる入国審査のみならず、不法入国者の摘発・退去強制に関わる入国警備という観点からもお話を伺うことができました。また難民認定に関しても、国際社会・市民社会との連携から実際の認定審査のフローまで、広くそして丁寧にご回答いただきました。

国の機関としての立場から多くの情報をご提供いただき、多くの学びを得ました。今回改めて認識したことを一部を紹介させていただきます。日本の問題点として、難民の認定率が他国と比較して少ないことが取り上げられているのをよく目にします。この記事を読んでくれている皆さんもきっと耳にしたことがあると思います。しかし、単純に認定率の低さを論じることは難しいという意見を管理庁のみなさまからは頂きました。例えば日本は島国であり、地理的にも紛争地から遠い場合が多く日本に来る難民の方は欧州と比べると少ないからです。また、他国とプロセスを比べた際に、フランスでは難民認定にかける審査時間が比較的短い一方で、日本ではとてつもなく長いそうです(当人の話をよく聴き、慎重に審査をしているとのこと)。審査件数が多く、そしてその審査に比較的長い時間をかけていることも、他国と日本の認定率の相違を説明する理由の一つであるようです。こうした背景の違いも、数字の意味するところを考えていく際に考慮した方が良いようです。

最新の出入国在留管理に関するファクトについては出入国在留管理庁ウェブサイトを参照ください。

出入国在留管理庁の皆様とのディスカッション中

4.2 公明党参議院幹事長 参議院議員 谷合正明様

次に、場所を移して公明党参議院幹事長であり、同党の難民政策プロジェクトチーム座長も務めていらっしゃる谷合正明さんにお会いしました。

谷合さんは政治家としてのキャリアをスタートさせる前に、開発コンサルタント企業とNGOという立場で国際開発業界でキャリアを積んできた方です。ICT4D Labが日々議論しているような途上国の開発に関する経験だけでなく、日本の難民問題にも20年程(!)、長く取り組んできた経験も。今回インタビューを通して、議員としての立場から本プロジェクトへインプットをいただきました。

まず谷合さんが議員として日本の難民問題に対して行ってきた取り組みについてお話をお伺いし、政治の現場でどのような意思決定や調整が行われているのかを学びました。ニュースで見聞きすることの裏側で、立場の異なる様々なステークホルダーの間で調整が行われていることを改めて学び、政治の役割を再認識しました。また、シナリオ作成に関連して議員さんたちの業務の詳細についても確認させていただきました。

一部を紹介すると、どんな要因が日本国内での難民受け入れの現状に影響しているのかという質問に対して、例えば米国のように難民・移民を労働力として積極的に受け入れる、トップレベルの政策決定があれば難民認定率自体は上げることはできるだろう。ただし、日本の今の受け入れに関する方針においては、闇雲に率を上げることを目指すのではなく、保護すべき人を確実に保護できる体制づくり(社会が受け入れできる準備)が重要だと思う、とご意見を共有いただきました。政治家として現実的な解決策を探りながら、難民問題に長く取り組んできた谷合さんだからこそ伺えるお話、とても印象的でした。

谷合さんと一緒に

4.3 ピープルポート株式会社の皆様

最後のインタビュー先は、「ZERO PC」の製造・販売を行っていらっしゃるピープルポート株式会社の皆様。青山社長をはじめ、スタッフの方々が温かく迎えてくださいました。

ZERO PCは「環境への負荷ゼロを目指すエシカルパソコン」で、廃棄されたパソコンをアップサイクルし、サステナブルな社会づくりに貢献しています。そして、その製造過程で日本国内の難民の方に就労機会を提供しています。仕事を通じて、難民の方にパソコンを修理するための技術(どこでも役立つ技術)を身につけてもらい、これを通して社会の難民に対する見方を変えることを目指されています。ZERO PCという名前の「ZERO」には、「難民ゼロ」への願いも込められているのだそうです。

同社の皆様には、会社・事業に関してご説明をいただいたあと、日本国内の難民の雇用をめぐる現状について質問をさせていただきました。先のインタビューでいただいた情報は主に難民認定の制度に焦点を当てたものでしたが、今回は個人のケースにフォーカスした議論が中心で、新たな観点から難民問題への理解を一層深めることができました。

一部を紹介します。

  • 難民認定申請中の方が就労許可をもらうには8ヶ月かかります。最低でも1年かかる場合がほとんど。支援で食い繋いで就労許可がおりても、その許可が半年先までしか有効ではなく、半年でまた更新する必要があるそうです。そのビザの不安定さや言語の問題から、スキルがあっても申請中の外国人を雇ってくれる会社は数える程しかないのが現状です。仕事もできず、支援はあるが様々な理由からアクセスがしにくい方々もいる中で、なんとか異国で生きていかざるを得ない。そんな方々を受け入れ、同時に社会的に意義のあるビジネスを成立させているのがピープルポートさんのZERO PC事業です。
  • 就労許可を受け、いざ働き始めても、その後全てが順風満帆にうまくいく訳ではありません。例えば、病院に行きたい時にも、言語の壁のせいで好きな時にお医者さんにかかることは難しいし、災害時にメディアが伝えている内容もすぐに理解することは難しく、不安を感じる場面が多いようです。ピープルポートさんは、同僚である皆さんの生活の困りごとに対してもサポートを行っています。皆さんから高く信頼されていることが伝わってきたのが印象的でした。

市民社会で難民と呼ばれる人々が活躍できる場を作る立場としての本問題に対する思いを伺い、よりこの社会問題を身近に感じたと同時に、我々も市民の一人であることを再認識し、本プロジェクトを良いものにしようという思いを新たにしました。

ピープルポートの皆様とのディスカッション中

4.4 インタビュー後

インタビュー後は貸会議室にて、インタビュー内容をまとめ、シナリオ作成に関する議論の焦点であった難民認定のプロセスの整理・法案承認のプロセスの整理を行い、今後の方針を議論しました。毎週オンラインで会っていたものの、初めてオフラインで顔を合わせたメンバーと朝から晩までインタビューや議論を行うのはとても新鮮でした。インプット量もアウトプット量も多い、非常に濃い1日となりました!

チームミーティング風景。いただいた大量の情報をすぐに整理!

今後は、シナリオのブラッシュアップをし、春が来る前に撮影も開始する予定です。脚本家やゲームデザイナー、映像監督であるメンバーの力を借りながらこれまで得られた知見をアウトプットしていく過程を、皆さんにまたブログ記事とプロジェクトページを通して共有しますね。

それではまた次の記事でお会いしましょう!

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