Educational Technology DebateというWebサイトで、ICT4E(ICT for Education)についのディベートが行われている。最近のテーマは、ICT4Eの「評価」。色々な意見が出ているが、正確に評価することの困難さが指摘されている。主な指摘としては、以下の通り。
- 教育におけるICT活用を含め、教育改革そのものが、詳細な調査や評価に基づいて実施されるのではなく、政治的要因によって実施される傾向がある為、そもそも正確な調査や評価が軽視される背景がある。
- 教育の質の向上に影響する要因は多くあるので、どこまでがICT活用の効果なのか測定が極めて難しい。
- 評価のための方法論やツールはあっても、どれも完璧ではないし、また完全に使いこなすことは困難。
- ICTを活用した場合の効果と、同等のコストで他の手段(教室増設や教員のトレーニング実施など)を利用した場合の効果の比較が困難(=費用対効果の妥当性を明確に出来ない)
上記のように色々と問題点が指摘されており、だからこそ、「正しい評価方法・評価指標が必要」との声が強い。
ちょっと違う角度で、自分が興味をもった意見としては、「教育の成果を測るときに何を目的をするべきか?」という意見。テストの点数が上がっても、そもそも教えていること(=テストの内容)が使い物にならない知識ならば、それは教育の成果が上がったとは言えない。例えば、今やITスキルやネットでの情報検索スキルはこれから社会に出て行こうとする若者にとって非常に重要。でも、学校で教えていることが未だにタイピングであったなら、タイピングのスキルを測るテストの平均点が上がったからといって、教育の質が向上しているとは言えない。
ICTを教育現場に導入するときにも、ICTを導入する目的を明確にして、その目的に沿った評価が必要だ。ICTの及ぼす効果は広範囲にわたるので、恣意的に判断すると、なんでもかんでもICT導入のお陰となってしまう可能性もある。Educational Technology Debateに紹介されていた図(下の図)は、ICT導入の目的や次なるステージをどこに据えるかなどを明確にするためのツールであり、わかりやすいと感じた。この図は、GeSCIというICT4E分野で途上国政府の支援をしている組織が作成・紹介している。
ITプロジェクトでも、開発プロジェクトでも、大体どんなものでも、正確な評価というのはかなり難しいものだと思う。しかしながら、何かにお金をかけるためには調査や評価が必要で、それなしでは予算が取れない。「評価結果によると・・・」という裏づけは、ICT4Eを推進したい派にとっても、反対派にとっても強力な武器となる。それだけに重要なものだが、本当に正確な評価指標が出来る日は来るのだろうか・・・。
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