前回のKanotの投稿が遠隔教育でしたが、今回も遠隔教育についてです。「国際開発ジャーナル」って雑誌に、バングラデシュの田舎で遠隔教育を実施しているグラミングループのプロジェクトが紹介(タイトル:「“インターネット”ד遠隔地”=教育イノベーション」)されていました。
バングラデシュでは、大学進学のためには殆どの者(あるアンケート結果では8割以上)が高校卒業後に3~4ヶ月間、予備校に通うそうだ。そうでもしないと合格出来ない狭き門(国立大学入学の競争率は約30倍)。しかも、首都ダッカにしか良い予備校・優秀な講師がいないため、田舎に住んでいる学生は、わざわざダッカに下宿しないといけない。当然、お金がない家庭では、そんなこと出来ず必然的に大学進学が出来るのは裕福な家庭の子供に限られる。そんな構造になっている。
そこで、早稲田大学の学生である税所篤快氏が立ち上げたのが「e-Education予備校」である。グラミン銀行で有名なグラミングループの協力を得て、ダッカの優秀な講師の授業をインターネット経由で田舎でも受講できる予備校を開始した。日本の予備校がやっているサテライト授業と同じことだ。初年度の今年は30名の生徒のうち、1名がダッカ大学に合格したという。
前回の投稿「オープンエデュケーションの可能性」で、大学の単なるオープンエデュケーションには実際に大学教育が提供する同級生と刺激をし合って勉強したり、議論したりといったメリットがないことが懸念点として上げられていたけれど、受信できる授業を集団で受講するスタイルであれば、実際の学校には及ばないまでも、ある程度同様の効果が期待できるだろう。また、特に大学受験予備校的な勉強であれば暗記系なので、遠隔教育に適している気がする。
それでも、このe-Education予備校の30人の生徒のうち5人は途中で来なくなってしまったということもレポートされいた。事前に十分なやる気があるかを家庭訪問等を通じて審査したにもかかわらずだ。そして、その原因は、予備校を無償にしたことと考えれており、来年度以降は小額でも授業料を取る方向に変えていく方針だという。
このプロジェクトを日本人の方がやっているのを非常に嬉しく思う。そして、自分が協力隊でエチオピアの遠隔教育システム導入を目の当たりにしたときに、同様の試みにチャレンジしなかったとこに対する後悔もある。インフラは十分揃っていたのになぁ。。。
でも、もしチャレンジしていたら、電力の安定供給や電気代、講師への謝金、機器のメンテナンス、場所代、人件費、などなど、これまでも一般的にICT4Dプロジェクトで失敗要因(=サステイナビリティが確保出来ない)として指摘されている障害をどう克服できただろうか?という思いも。「国際開発ジャーナル」の記載では、そういった点については言及されていなかったので、このe-Education予備校が上記のようなハードルをどうやって克服している(or していく)のかについては、非常に気になるところだ。
コメント
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バングラディッシュe-Educationの事例は素晴らしいと思う。
実績のあるシステムを途上国で展開した点。
コンテンツを必要とする人が、最大限それらを有効活用した点。
精査選抜した学生5人が途中脱落した理由が調査された点。
以前、【研修生制度】を利用して日本で働く外国人に日本語を
教えている団体に参加した。学習者は無料で参加できる。授業中の教材は参考書をコピーするなどしていたが、これらを準備するには当然お金がかかる。しかし、この団体では、コピー費など受益者から集金することは一切なかった。馬鹿げたことに、教える側の日本人がボランティアの名の下に運営費を支払っていた。休憩時間にお茶など出すが、これらも無料。学習者は至れり尽くせりの天国??
教材費や施設利用費など受益者が負担すべきだと主張した。【これはボランティア活動だから無料】の一言で、誰一人相手にしてくれなかったが。ほとんどのメンバーがド田舎のおじさんおばさんで、つたない日本語を話す外国人に日本語を教えていることに人生の喜びを感じている人がほとんどだったから、ボランティア=聖人で、通じるわけがないが。
【ボランティア】=自ら進んで何かをする人、という意味すら分からず、【ボランティア】=無償で活動する人論が正論。まじ恐ろしい世界だった。
それはさておき、なんでも無料で活動していた気付いたこと。
生徒の出席率、定着率が異常に低い。
休日の都合、退屈な授業、日本語習得の必要性が低いなど考えられるが・・・。
やはり、受益者には最低限の負担が必要であることは自明である。
タダで手に入るものだから、簡単に捨てることが出来る。
捨てても何ら痛みを感じない。
以前参加した青年海外協力隊では職業訓練校で仕事をした。
日本大使館から草の根資金援助で作られた学校施設。
箱はあっても、教材費、光熱費、講師給料など必要な資金は受益者である生徒から徴収していた。至極当然のことだ。
それでも、学校は金欠。運営費も日本のお金でどうにかならないかと冗談で言われた、仲のいい同僚を本気で殴り倒したいと思った故田尾がある。
e-educationとは関係のない投稿でした。
>高橋名人!
熱いコメントありがとう。
この記事によると、グラミン創始者のユヌス氏から、「無料は人を救わない」と論された。と書いてありました。
難しいことだけど、途上国で本気で何かやろうと思ったら金とらないと本気にさせることは出来ないと自分も痛感しました。
友人の小規模ビジネス支援として金を出したことがあったけれど、やはり日本人からもらった金でビジネスを始めても、必死度が低すぎて上手くいかなかった。
と言いつつも、うちの奥さんも無料の日本語学校へ行っていて、ラッキーなことに良い先生(ボランティア)にめぐり合い、結構きちんと日本語学習している。まぁ、日本語習得の必要性が高いというのもあるけれど、やはり人によるところも大きいのだと思う。ボランティア側も参加する側も。
名人、また気になる投稿には是非コメントしてくださいね。
ICT for development.JP、貴重な情報ありがとう!!
やはり、【無料は人を救わない】んですね。
たけちゃんの投稿に要した労力を【投資】を無料で使わせてもらっています。気になる投稿には、今後もお礼の意味を込めてコメントさせてもらいます。
何かを学ぶ、やはり学習者のやる気で大切です。
奥さんの一生懸命さが、素晴らしい講師との出会いを可能にした。
こんないい草変ですが、やる気が幸運を引き寄せるのでしょう。
講師も奥さんの熱心さに刺激され、一生懸命になる。
お互いに有意義な時間を過ごしていますね。
では
コメントどうもありがとう。
コメント貰うと、ブログ書いてるモチベーションも上がるってもんです。
不定期更新ながら、続けていくのでヨロシク!
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