ガーナへの転勤を目前に引越し準備中のTomonaritです。昨日、エチオピアつながりの友人に壮行会を開いて頂き、久しぶりにエチオピア料理をたらふく食べました。エチオピア料理を食べながら友人と、「20年後も今のような援助は続くのか?」ってな話をしました。
トジョウエンジンに“世界の貧困”の間違った固定概念を壊す! ゲイツ財団の年次レターの中身を全てご紹介というタイトルで、ゲイツ財団が主張する「世界の貧困は改善されつつあり、2035年までに途上国と呼ばれる国は無くなる。」という説明が日本語で掲載されています。
この説明を読むと、「確かに・・・」と思える点は多くあります。自分が初めてエチオピアへ行った2003年から比較するとエチオピアもこの10年でとても発展したと思います。一人当たり名目GDPで比較すると、約120USD(2003年)から約533USD(2013年)になってます。アジスアベバも当時はエレベータがある建物は1つしかなかった(自分の知る限り)けど、今では写真のようなガラス張りのショッピングモールが山ほどあるし。勿論、都市部と地方部の格差は依然として大きいけれど、2035年までには「途上国」じゃなくなっているかもしれない。
20年後は、貧しい国を援助するというスタンスの援助は紛争中の国とか以外にはほぼなくなり、地球温暖化対策とかエネルギー問題とか感染症対策などの地球規模で対策を要する課題に絞られていくのかなぁと思ったりします。あと、日本企業のマーケット開拓、日本経済活性化に資する援助ってのも。一言でいえば、支援する側 vs される側の援助じゃなくてWin-Winの関係となる国際協力・連携になるのだろうと。すでに日本人が「途上国=支援される側」とイメージしている国でも、その国の人達はそんなふうに思っていない(援助を「もらう」のではなく、どの国との連携を強めようか?という援助を「選ぶ」立場であると思っていたりする)という国は沢山あると感じます。
ICT分野で考えてみると、よりその活用の場が増えてくる気がする。道路がない国に道路を作るとか、学校がない地域に学校を作る、といったようなゼロを1にするプロジェクトでは、1にするのが目的だからICT活用の場は限られるけれど、ETCを使って道路の利用効率を上げようとか、遠隔教育やデジタル教材やタブレット端末を使って教育の質を上げようといった1を10にするようなプロジェクトなら、ICT活用の場が増えるだろう(それをODAでやるのか、民間企業がビジネスとしてやるのかは状況次第)。
こんなことを考えつつ、引越し準備をしていると青年海外協力隊の訓練所で書いたレポート(以下)がまた目についた。こんな視点もあったなぁ、と忘れていた視点も思い出しました。
***ここから「国際関係と日本の国際協力」レポート***
2月24日(月)にジャーナリストで茨城大学人文学部教授の杉下先生により、「国際関係と日本の国際協力」というテーマにつき貴重なお話を聞かせて頂きました。杉下先生のお話は、
- 平和構築プロセスにおけるODAの位置(アメリカの対イラク攻撃に関する話題から始まり、なぜODAが必要なのかという点を非常にわかりやすくお話ししていただけました)。
- 日本のODAの現状と役割(日本のODAが国際社会でどういった評価・成果をあげているのか、また今度はどういった方向へ力を注いでいくべきなのかについて、NGOとODAの関係なども含めお話していただきました。
- 世界の経済協力政策における最近の動向(最近の話題を簡潔にまとめてお話しいただきました。自分は開発学や国際政治等を学んでこなかった人間なので、杉下先生のお話を聞き、自分も協力隊として任国へ行く前に、ある程度のことは勉強しておくべきだと改めて思いました。)
以上の3点につき、多岐にわたるお話を聞くことが出来、大変参考になりました。
特に、杉下先生は協力隊が日本のODAの中でも、非常に重要な役割を果たしているとお話してくれました。杉下先生のお話では、開発途上国の不満がまだ小さい段階で援助・協力をすることで、大きな不満が爆発する予防になっている、そして協力隊こそが、その小さな不満を解消することが出来るとおっしゃっておりました。私はその意見を聞き、非常に参考になりました。
私が協力隊へ参加することになったとき、まわりの人達からは賛成意見も反対意見もありました。反対する人のなかには、「協力隊の技術レベルが低い」とか「協力隊で草の根的な活動をしたところで、しょせん草の根、大した成果はあがらない」と言ったネガティブな意見を言う方もすくなからずおりました。私自身も協力隊に関するいろいろな本や資料を読み、確かにそういった意見があるのは否めないなぁと感じておりました。
しかしながら私が協力隊への参加を決めた理由は、たとえ協力隊としての活動が成果のあがらないもので終わってしまうかもしれないにしても、そういった厳しい環境の中で自分を試してみたいという思いからでした。逆に言えば、自分を試してみたいという気持ちが強く、国際協力やODA事業に関わる人間として、どういった役割を果たしたいのかといった理念やODA事業の詳細などをあまり知らない人間でした。
杉下先生のお話を聞き、協力隊が日本のODA事業のなかでどういった役割、そして成果をあげているのかが良く理解できました。これからの自分の活動が大きな視点でとらえたときに、国際平和の構築・維持に大きくかかわっている、紛争の予防となっているのだという自信を持つことが出来ました。
最後に、杉下先生が協力隊に対するネガティブな意見に対して、どのように感じておられるのか? 協力隊事業においてもっと改善すべき点は何なのか?等、質問したい点もあったのですが、時間の関係で質問出来なかったのが残念でした。
***ここまで***
自分の協力隊での活動が世界平和に貢献出来たのかは謎ですが、少なくともエチオピアの片田舎に親日派が増えたのは間違いないなぁ(笑)
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