世銀の電子決済推奨レポートとIMFのRegional Economic Outlook

3. その他

世界銀行が「The opportunities of digitizing payments」というレポートを発表しました(8月の話で、あまりタイムリーじゃないけど・・・)。Gates FoundationとBetter Than Cash Allianceとともに作成したレポートで、内容は、「電子決済(主にモバイルバンキングのこと)辺境地に住んでいても、女性でも、誰でも金融サービスに容易にアクセス出来る。今までの現金のみのやり取りよりも便利で安全。電子決済が途上国開発に与える影響はすこぶる良いので、途上国政府は電子決済の仕組み構築に積極的に取り組むべし」というもの。そして、電子決済導入のための5つのステップ(下記)を紹介している。

1.     Digitize government payments and receipts, including social transfers. This creates a foundation upon which the private sector can build, including for person-to-person payments, such as international and domestic remittances.

2.     Engage actively on the regulatory agenda. Governments need to encourage regulators to enable digital financial services by fostering competition, ensuring consumer education and fostering business model innovation.

3.     Convene public and private sectors to create a basic technical payment platform infrastructure, across which providers can compete on product development. Public and private sectors can converge around a payments platform, and enable innovation and competition in additional financial services.

4.     Create an enabling environment that fosters private-sector innovation. Governments need to offer a clear vision and tangible incentives in order to ensure that the private sector is an effective, competitive, transparent, and efficient partner.

5.     Recognize the role of remittance providers in offering a digital entry point to formal financial services for senders and receivers. Instead of remittances being cashed out, remittances sent to a bank account, e-wallet, or smart card, for example, can go into accounts that support safe saving and also increase transparency and traceability.

個人的には、なんでもかんでも「すごく良い!」という話には、要注意と思ってしまう。何事にも正と負の面があるってのが世の常でしょうよ…と。そんな性分なので、過去にも「携帯電話とアフリカ社会」とか「モバイルバンキング神話は本当?」といった記事をこのブログでも書いてきた。それでも、ここ最近の携帯電話の普及率と活用を見ると、やはりこの流れは肯定するしかないと感じる。そんな風に思った理由として、IMFのRegional Economic Outlook: Sub-Saharan Africaというレポートを紹介したい。

このレポートのなかでは、サブサハラ・アフリカのインフラ(ICTだけじゃなく電気、水、道路も含む)開発度合いが分析されている。下記グラフがインフラ全体の開発(改善)度合いを示したもの。No changeと100 percent growthの間にどの国もだいたい収まっている。

IMF report1

 

これが、ICTインフラのみに注目すると、以下のグラフに変わる。全部の国が100%成長を大幅に超えている。レポートによれば、半数以上の国では、2000年時点では100人に1人未満の携帯電話加入者数だったのが、2010年には100人に50人以上の加入者数となった。年間約40%の成長率だという。なるほど、それでこんなグラフになるわけか。

IMF report 3

電気、水、道路といった他のインフラ分野の成長がどんなものかを比較するために、その他の表も以下に載せてみます。左上が上記の携帯電話のやつです。比較すると一目瞭然!この10年、アフリカにおける携帯電話の発展が正にイノベーションだったことが良くわかる。

IMF report 2

この先の10年もこの流れが続くのかどうか?を思うと、いかにツールとしてICTが活用されるかにかかってくるのだろうと思う。e-healthとかe-Agricultureのような情報提供サービスからITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)のようなインフラまで、どんな使い方が発展するか興味深い。一方、上記のグラフでも電力の発展がイマイチ悲しい結果になっていますが、電力インフラが発展しないとなあ…という点も気になります。これを書いている今もガーナは停電中…(涙)

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