こんにちは、Kanot(狩野)です。世界銀行が2018年11月に発表したレポート「Data-Driven Development」のモーニングセミナーがあったので、参加してみました。(朝苦手なので前日夜は申し込んだことを後悔しましたが・・)
さて、このレポートでは国際開発におけるデータの重要性について書かれています。様々な統計データも盛り込まれているので、途上国の「データ」に関する情報を探している方は、データソースとしても使えると思います。(別件ですが、世界銀行が2016年に発表したICTをテーマとしたWorld Development Reportも途上国のIT事情に関するデータを引用したい際などに大変役に立ちました。)レポートのダウンロードはこちらから可能です。
以下がセミナーの中で触れられていた点のうち、個人的に印象的だったものです。
- データの洪水
- 今日存在するデータのうち90%以上は直近2年で作られたものである。
- 1台の自動運転の車は、1時間で約4,000GBのデータを生成する。
- 2017年時点で、世界には35億人のインターネットユーザがいる。
- データはどこから来るのか?
- 昔:電話・通信会社などの固定回線から。
- 今:携帯電話およびビデオストリーミングから。
- 未来:Machineがデータの主な発生源となる。例えばIoTデバイス、自動運転車、センサーネットワーク、データセンターなど。そしてデータのトラフィック分布は、現在の先進国寄りのものから、人口分布寄りのものに近づいていく。
- ヒトとデータ
- ビッグデータ革命は人々に多くのベネフィットをもたらした。その一方で、個人にはリスクとコストに晒されている。
- ベネフィットとしては、よりよい意思決定と利便性である。(多くのサービスは広告収入のおかげでほぼ無料で使える。)
- 想定されるコストとしては、プライバシーや個人情報の管理の難しさ。
- リスクとしては、個人情報の精査(Profiling)に伴う排除、信頼の低下。
- 世界のインターネットユーザ一人あたりの広告価値はUS$ 53。この額を払えれない人たちは、上記のリスク・コストを受け入れて無料・格安サービスを受けざるを得ない。
- 無料サービスを受けることと、個人情報を提供することは、トレードオフの関係にある。
- 個人情報の共有に関する抵抗感(下図参照)
- 世界平均で見ると、27%のユーザは便利なオンラインサービスと引き換えに個人情報を提供することはやむを得ないと考えている。
- 中国人が最も高い許容率(最も抵抗感が低い)
- 日本人が個人情報を提供することに最も抵抗感を持っている。
参加してみての所感ですが、先日書いた「あなたの信用が点数化される社会って、一体どんな社会?」でもある通り、中国が情報提供の抵抗感が低いというのは納得ですが、GDPRなどでガチガチに縛ろうとしている欧州より日本の方が低い(しかもダントツ)というのは少々意外でした。
そして、「データのトラフィック分布は、現在の先進国寄りのものから、人口分布寄りのものに近づいていく」という点について、一つ質問をしてみました。その質問は「では、IT企業のパワーバランスも現在のアメリカ・中国へ偏った状態から人口分布寄りに近く見通しなのか?」という内容です。
その回答としては「大きく2つの動きがあると思う」とのことでした。一つは、最初にシェアを取ったものが強いということ。つまり、AmazonやGoogleなどの有利性は今後も高いという点。二つ目は人間中心アプローチが進んでいく(個人周りのビッグデータが生まれる時代になりつつある)ため、今後はより地域や文化に適用したサービスが求められていくという点。
ご参考になれば幸いです。
追伸:このブログの読者のF社の方に会場でお会いしたのですが、お名前を再確認するの忘れてました。もしこれをご覧になってたらご連絡 or FB友達申請ください。
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