こんにちは、Kanotです。以前(2020年)、世界のデータ通信料について、以下のような記事を書きました。
この記事で参照したデータの最新版(2022年末版)が出ていることに気づいたので、変遷を分析してみました。
通信料の安い国トップ5はどう変わった?
まず、分析元に使用したデータはこちらのサイトから取得しまています。詳しいデータをご覧になりたい方は、元データをご覧ください。(アイキャッチもこちらのサイトから引用しています。)
まずは通信料が安い国からいきましょう。(注:人口の少ない島国やXX国領などは除いています)
以下のランキングは1GBあたりの通信料金(単位はUSドル)の2020年と2020年の比較です。技術発展に伴って通信料金も安くなってる・・・はず??
イスラエルが2020年の2位(1GBあたり9セント)から1位(1GBあたり4セント)になっていますね。他にもインド、キルギス、イタリアは継続してランクインしています。ただ、いずれも僅差なので、どの国もめちゃくちゃ安い、という状況ということは変わりません。
一方、3位にはなんとフィジー。島国で海底ケーブルとかお金かかりそうなのですが、なぜかランクインしています。前回5位だったウクライナはロシアとの戦争もあってかTop 5からは落ちていますね。
通信料の高い国トップ5はどう変わった?
続いて、通信料金の高い国ランキングにいきましょう。はてさて、どう変わっているでしょうか。
2020年時点で最も通信料金が高いと言われていたマラウイ、ベナン、チャドのトップ3は、2022年のトップ5からは外れています。一方、イエメン、ボツワナは順位をあげ、それぞれワースト1位、2位になっています。
代わりに入ってきたのがトルクメニスタン、トーゴ、そして韓国です。韓国は電子政府などが進んだ国という印象なだけに、少々意外でした。
一方、トルクメニスタン、トーゴはともに2020年時よりは安くなっているのですが、このようにワースト5に入ってしまったということで、他の国々が着実に通信料金が安くなってきているということなのかなと思います。
デジタルデバイドは減少中?
その1. 通信料金の地域格差
これまで示したように、通信料金が安い国トップ5の通信料金は2020年の時点でほぼ無料かというレベルで格安だったため、2022年に大きな変化はありませんでした。一方、通信料金の高い国トップ5については、高いながらも明らかに安くなってきている傾向が見てとれます。例えば、2020年時点の高い国トップ5の平均はUSD 21.56だったのに対し、2022年ではUSD 14.28まで下がっています。
つまり、国ごとの格差としては縮小傾向にあると考えられます。
そこで、今度は国ではなく、各地域の通信料金を比較してみました。その結果は下図のとおりです。
これを見る限りでは、どの地域も通信料金は減少傾向で、赤太線のサブサハラアフリカも健闘しており、他の地域と変わらないレベルまで通信料金は下がっているように見えます。
では、このことから「デジタルデバイドは縮小傾向にある」と言えるのでしょうか?
この結論を出す前に、今度はこのデータをもとに、国ごとの一人あたりGDPで割ったグラフを作ってみました。下図は、10GBあたりの通信料が、国の平均所得の何%に当たるのかというグラフです。
赤太線がサブサハラアフリカなのですが、突出して高くなっています。つまり、アフリカ地域も通信料自体は下がってきているものの、依然として所得に対する負担は大きく、他地域と比べてアフリカが依然として厳しい状況にある(地域間のデジタルデバイドが存在する)状況と考えられます。
その2. 通信スピードの地域格差
次に、通信スピードによる地域差はどうなのだろうかという点について調べてみました。GSMAが地域ごとの5G普及率のデータを公開していました。こちらのグラフは2025年時点の5G普及率の予測値です。
サブサハラアフリカだけ5%を割っている状況で、通信スピードという観点でも、まだまだ地域間のデジタルデバイドが残っているという状況と考えられます。
おわりに
縮まりつつある通信料の国・地域格差、残り続けるデジタル・デバイドという大きな2つの傾向が見て取れたかと思います。また2年後くらいに変遷を分析してみようと思います。ではまた2年後?に。
(参考)ちなみに日本は・・
最後に、日本はどうなっているのかも念のため確認してみました。2020年では1GBあたりUSD 3.91だったのが、2022年ではUSD 3.85とちょっとだけ安くなっています。ただ、この頃は為替の変動も大きかった時期だと思いますので、誤差の範囲なのかもしれません。
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