GoogleとIFCが「e-Conomy Africa 2020」報告書を発表

アフリカ
Source: https://www.ifc.org/wps/wcm/connect/6a940ebd-86c6-4a38-8cac-5eab2cad271a/e-Conomy-Africa-2020-Exe-Summary.pdf?MOD=AJPERES&CVID=nmPYAEV

11月11日にGoogleと国際金融公社(IFC)がアフリカのインターネット経済の伸びを予想する報告書「e-Conomy Africa 2020」を発表しました。日本語のプレスリリースを見るだけでも以下のようにちょっとした概要がわかります。

アフリカのインターネット経済が2025年までにアフリカ大陸の国内総生産(GDP)の5.2%に達し、約1,800億ドルの経済貢献をもたらす可能性があると試算しています。2050年までに、予測される潜在的な経済貢献は7,120億ドルに達する可能性があります。(中略)

アクセンチュア社が実施した報告書内の分析によると、アフリカ大陸のiGDPが、2020年にはアフリカ全体のGDP合計額2兆5,540億ドルに対し、約1,150億ドル(GDP合計額の4.5%)貢献する可能性があるとしています。これは2019年の997億ドル(GDP合計額の3.9%)から増加しており、大陸の経済発展に伴い拡大する可能性があります。

https://pressroom.ifc.org/all/pages/PressDetail.aspx?ID=26069

毎度のことながら個人的に気になった点をピックアップしてみます。以下、あくまでも私の解釈なので、参照したりする際にはオリジナルの報告書をチェックしてくださいね。以下の図はExective Summaryの最初の部分です。

Source:https://www.ifc.org/wps/wcm/connect/6a940ebd-86c6-4a38-8cac-5eab2cad271a/e-Conomy-Africa-2020-Exe-Summary.pdf?MOD=AJPERES&CVID=nmPYAEV
  • Of the top 20 fastest-growing countries in the world, 19 are in Africa(P6)→高成長している都市のぼほ全部がアフリカの都市だったとは驚き。
  • The African Union (AU) is building the largest free trade zone in the world(P8)→AfCFTA(African Continental Free Trade Area)というアフリカのほぼ全ての国を含むアフリカ大陸自由貿易圏を作る動きがあり、実現したら単一最大の自由貿易圏になります。AfCFTAは、すべての国の90%の関税を削減することを目的としているとのこと!これ出来たらスゴイな。
  • the number of people with Internet access has grown to over 520 million, or 40% of the population; and 60% of the population accesses the Internet via mobile. Increasing Internet access to reach 75% of the population could create 44 million jobs (P11)→アフリカのインターネット普及率は40%だけど、これからどんどん伸びるようです。
  • 10% increase in mobile Internet penetration increases GDP per capita by 2.5% in Africa ,compared with 2% globally(P12)→世界の数字に比べてアフリカの方が高い数値になっているのは、アフリカでは携帯を使ったサービスがより主流になっていることなんでしょう。同じページに、2018年のサブサハラ・アフリカGDPの8.6%は携帯電話関連からだとか、サブサハラ・アフリカでは144のモバイル送金サービスがあり、469百万人が登録している一方、銀行口座保有者数は298百人(2017年)とか、書いてあります。やはり携帯電話の普及がアフリカの経済発展のドライバーですね。以下の図のように今後も普及は進むようです。
Source: https://www.ifc.org/wps/wcm/connect/e358c23f-afe3-49c5-a509-034257688580/e-Conomy-Africa-2020.pdf?MOD=AJPERES&CVID=nmuGYF2

Monthly data consumption is forecasted to increase by over 300% between 2018 and 2024(P13)→左図のように、2024年の1ヶ月あたりのデータ利用量は7GBを超えるとの予想。今の私よりもヘビーユーザだなぁ。現在、インターネット・エコノミーが発展しているのは、南ア、チュニジア、モロッコ、ケニア、ナイジェリとのこと。

  • A variety of sectors – including fintech, e-Commerce, healthtech, media and entertainment, local transportation, food delivery, and business-to-business (B2B) e-Logistics – are leading the way in Africa’s digital transformation(P11)→デジタルエコノミーを牽引するセクターは複数ありますが、その中でもFintechとe-Commerceがツートップのようです。
  • There are nearly 700,000 professional developers across Africa, with more than 50% concentrated in 5 key African markets(P29)→約70万人のIT技術者の半数以上が5カ国に集中しているとありますが、どの国だと思いますか? 正解は・・・、エジプト、ケニア、モロッコ、ナイジェリア、南アフリカでした。
  • また、各国のIT技術者のスキルを細かく分析した図があり、個人的にこれ何かに使えそうだなぁと思っています。
Source: https://www.ifc.org/wps/wcm/connect/e358c23f-afe3-49c5-a509-034257688580/e-Conomy-Africa-2020.pdf?MOD=AJPERES&CVID=nmuGYF2
  • The top two developer training pathways are through university programs and self-taught channels, such as online coding lessons and resources. Universities train 33% of software developers in Africa, while 31% are self-taught.(P38)→IT技術者がどうやって勉強しているか?は、大学と自己学習がツートップ。この2つの割合がほぼ同じであり、自己学習の機会を提供している民間企業(AndelaGebeyaDecagonなど)の重要性がうかがえます。Googleがやっている調査だけにこう言った結果なのか?
  • Google, for its part, aims to train 100,000 developers across Africa in 5 years through Google Developers Training, with the commitment through 2022.(P39)→Googleもやってますね。また、アフリカに150以上のGoogle Developer Groupsと100以上のDeveloper Student Clubsがあるとのことです。
  • Technology companies such as Google and Facebook are continuing to improve connectivity by expanding their undersea cable networks. For example, the first phase of Google’s new submarine cable, Equiano, is expected to be completed by 2022 (P62)→Googleも独自の海底ケーブルをアフリカに引くことをしており、このEquianoはポルトガルと南アを繋ぐ海底ケーブル(途中ナイジェリアに陸揚げ地点あり)。

以上、気になる点を書いてみました。報告書にはスタートアップ・エコシステムや投資関連の情報も記載があるので、その部分は上記に含めていません。実はこのトピックを取り上げたいと思ったきっかけは、日本の「IT人材白書2020」に関連する記事を見たからでした。その記事で日本のIT人材は125万人(「IT人材白書2020」より)と書かれていました。上記だけを見ると「これからアフリカのIT分野盛り上がる!」という気がスゴイするのですが、日本の125万人とアフリカの約70万人とを比べると、まだまだだなぁという気もします。

ちなみに、その記事(11月14日の日経新聞「技術革新は辺境で起きる」)では、日本のIT人材は77%が情報システム会社(ITベンダー)、23%が非IT企業(ユーザー企業)に所属しているが、アメリカではIT人材の6割以上が非IT企業に散らばっており、それが日本ではDXがなかな進まない理由の1つという話でした。アフリカの場合は今後どういう割合になるのか?という点も気になるところです。

ニュースレターはじめました。テクノロジーと国際開発(ICT4D)に関する新規ブログ記事・海外ニュース・イベント情報などを月1〜2回発信しています。以下フォームからご参加ください。詳細はこちら

フォローする
アフリカ
ICT for Development .JP

コメント

タイトルとURLをコピーしました