先日、ICT4D分野の進路相談を受けることがありました(自分も進路相談したい位の若輩者ではあるのですが・・・)。また、最近、職場の異動やら娘の小学校入学準備やらで、なんとなく新年度を迎える感が高まりつつあったので、ICT4D分野の進路相談をテーマに投稿します。
求人情報
まず紹介したいのは、「http://ict4djobs.com/」というサイト(実は2011年の投稿でも紹介済みだったりしますが)。このブログでもちょいちょい元ネタにさせてもらっているICTWorksの運営者Wayan氏などがやっているサービスで、メアドを登録するとICT4D分野の求人情報が定期的に送られて来ます(以下、その一例)。
このサービス、自分も利用しているのですが非常に幅広い求人情報が載っていて、「今どいう団体がどういう人材を欲しているのか?」というICT4D人材の世界的な需要を知ることが出来、職探しとは別の視点で勉強になります。
大学院留学
以下、過去の投稿を整理してまとめてみました(中には情報が古くなっているものもあるかと思うので、その点はご容赦下さい)。
- ICT4Dが学べる大学トップ10:
“Top Ten ICT4D Master Course Worldwide” というタイトルで世界中でICT4Dが勉強できる修士コースのリストアップがされているブログ記事があったの紹介したもの(2014年4月投稿)。 - ICT4Dが学べる大学リスト:
The Association for Information Systems (AIS)という団体のサイトにあったリストをそのままコピペしたもの。途上国の大学も結構含まれてます(2014年11月投稿) - アメリカのICT4D大学院:
今、ミシガン大学博士課程留学中のKnotがアメリカに絞って6つの大学院を紹介(2014年10月)
この他、Sussex 大学のInnovation and Sustainability for International Developmentなんかもあり、探せばまだまだあるのかも。
次に以前、このブログのコメントで頂いた質問に対する自分の回答を紹介します。あくまでも個人的な見解なので100%正解ではないという頭で見てもらい参考になれば幸いです。
マンチェスター大学のICT4D修士コース(その1)
以前、このブログ相談(詳細はProfileページをスクロールしてみて下さい)を受けた質問3つに対する回答です(2012年8月)。これはもう完全に個人的な感想で、しかも自分が留学していた2007〜2008年の頃の話なのであくまで参考までに。
- ICT4Dを学ぶにあたっての現場経験(エンジニアとしての経験)
- マンチェスター大学について
- 研究テーマについて
まず、大学院でICT4Dを勉強するという点において、ICT業界などでの現場経験の重要性は、「なにを勉強するか?」によると思います。例えば「オープンソースソフトウェアを活用して途上国向けアプリ開発をするには?」的な技術的なことを追求したいなら、プログラマやSEとしての現場経験は非常に有益ですが、「途上国のICT政策の在り方について」といった政策的なことや、「ICT4Dプロジェクトの評価手法について」といったことを学術的な観点から研究するなら、現場経験の重要性は薄れると思います。
そして、マンチェスター大学で学ぶ内容は、後者になります。途上故国開発系の授業に加えてシステム開発関連の授業もありますが、技術的な話というよりは、プロジェクトマネジメント的な内容です。IT資格試験で例えるなら、CCNAやネットワークスペシャリストやではなく、ITストラテジストやプロマネの試験内容といった感じです(ちなみに、自分はマンチェスター大学の授業での課題で書いたエッセイのネタを流用してITストラテジスト試験に合格しました)。
なので、「ICT4Dプロジェクトの成敗の要因」を技術面からではないアプローチで研究したいということなら、マンチェスター大学は良いと思いますし、現場経験の無さも大きなデメリットにはならないと思います。
また、1年間のコースで勉強出来ることは「浅く広く」です。ICT4DといってもUSPのような教育分野から保健医療、農業、電子政府、BOPビジネスetc.かなり幅広いですし、テクノロジーも携帯電話から衛星や地デジまでハード、ソフト含めさらに幅広です。分野・技術・地域・アプローチなどから研究テーマを絞り込む過程で自分の興味の焦点が明らかになると思いますが、そのためにも、まずは幅広い文献や事例に目を通すのが良いです。個人的には、この幅広い文献や事例を学べるのが大学院の1年の一番のメリットと思います。
マンチェスター大学のICT4D修士コース(その2)
同様にこのブログ相談(詳細はProfileページをスクロールしてみて下さい)を受けた質問3つに対する回答です(2013年2月)。
- 「コースの状況(授業の雰囲気、教授のスタンス等)」
少数制の議論中心の授業を想像してビビッていたのですが、授業は大半が40人位での講義型でした。ガンガン意見を言い合うというのではなく、2~3人のグループでちょこちょとと話をして、その結果を代表が発言したり、発言する人は発言するという感じ。「発言しない人はいないも同然」という米国のMBAコースみたいな感じではなないです。また、5~6人でグループワークを行いプレゼンするということが多かったです。プレゼンとタームエッセイで評価される授業が多かったです。
雰囲気はかなり多国籍でした。そして、学生のレベルもまちまち。米国やカナダからわざわざ英国留学に来るような学生はレベル高かったですが、途上国からの学生のなかには、自分から見ると「そんな発言すんなよ~」と思うこともありましたが、でも先生はちゃんと丁寧に回答してたし、周りの雰囲気も和やかでした。人によっては「もっとレベル高いかと思った」と感じる人がいてもおかしくないと思いますが、個人的には、和やかな雰囲気が好きでした。
教授のスタンスはわりとみんな親切・親身に話を聞いてくれる感じでした。自宅に招いてのバーベキューみたいなことはなかったですが、個人的には満足でした(以前ロイヤルホロウェイの学生に聞いたら、Tim Unwin教授は自宅でバーベキューとかやってくれるという話でした)。例えば、今でもRichard Heeks教授とは繋がっており、日本へ来た際に会ったり、個人的に論文を書いた際に相談したり、といった関係は続いています。 - 「フィールドワークでどのようなことを実施したか」
ICT4Dコースにフィールワークってのがありますよね。自分のときはインドへ1週間ちょい行き、ICT4D活動をしているNGOやマイクロソフト・リサーチなどの企業を訪問したりでした。フィールドワークっていってもリサーチをする感じではなく、視察旅行みたいな感じです(修学旅行のもう一段レベルアップしたようなものですね)。でも、現場でいろいろな話を聞けたのはためになりましたし、何よりも同級生や教授と仲良くなれたのが良かったです。
ちなみに、自分はコースとしてのフィールドワークとは別に、修士論文のためにエチオピアへフィールドワーク(これは本当にリサーチをするため)に行きました(自腹です)。 - 「卒業後にManchesterだったから得られたメリット」
うーん、これは難しい質問ですね。別の大学院だったらどうだったのかと比較ができないので、なんとも言い難いですが、とりあえず同窓生が結構居るので、「あ、自分もマンチェスターでした」って話が出来る機会が結構あり、メリットかもしれません。でも、開発業界ではサセックスも卒業生多いですよね。
以上、昔のネタに再びスポットを当ててみました。これから新しい進路を目指す方へ参考になれば幸いです。もっと最新情報を知っている方がいれば、是非、コメント下さい!
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