イノベーション支援ブーム

ども、Tomonaritです。さて、前回に引き続き、国際開発ジャーナル8月号「デジタル時代の創造力〜イノベーションを呼び起こす〜」の記事をネタに書いて見ました。

この特集では、世界銀行、USAID(アメリカ)、GIZ(ドイツ)、KOICA(韓国)といったドナーのイノベーション支援の取組みを紹介しています。あとは、ユニセフやJICAの取組みもちょいちょい話に出て来ます。超簡単に示すと以下のような取組みを各機関がやっています(各取組みの内容を詳しく知りたい人は、リンク先を見てみるか、国際開発ジャーナルを読んでみて下さい)。

ドナーによるイノベーション支援を見てみると、大きく3つに分けられる気がします。

1つ目は、途上国の企業(起業家)を支援する方法。例えば、世銀の「XLプロジェクト」は、ケニアの物流会社Sendy(携帯電話での集荷・配車マッチングサービスを提供)やタンザニアのマイクロ保険事業会社Jamiiなどを支援しています。

2つ目は途上国の課題解決に貢献するビジネスを行う先進国の企業を支援する方法。例えば、ドイの「Strategic Partnership Digital Africa」はSAPやシーメンスなどの大企業含め約130の企業が参加しアフリカでのビジネスを立ち上げている。あと、JICAの民間連携スキームもこのカテゴリーになる。世銀やユニセフのような国際機関なら、どこかの国の企業を担ぐ必要はないけど、二カ国間ドナーはやはり自国の企業のためにもなる支援をやっていく必要がある。

3つ目は、イノベーションを促進するための枠組み作り。JICAの場合に例えれば、ルワンダのイノベーション・エコシステム技プロのようなもの。特許関連の法整備とか、インキュベーションセンター設立支援とか。

以前の投稿にも書いたように、個人的には1の方法を最も応援したい気持ちになりますが、きっと1、2、3、が絡み合って相乗効果を上げて行くというのが理想的なんじゃないかと思います。

「いいね」だけだとつまらないので、敢えて斜に構えたことも書いて見ます。特に上記1、2の点について言うと、ここまでドナーが民間連携、ビジネス支援、イノベーション支援といった領域に注力していくと、もはや「援助を入り口に民間の活力を途上国開発へ活用する」というよりも、これも援助・ODAの一領域、つまり「ODA事業を民間企業へ発注する」(=今までと同じ)というような構図になっていくような気もします。

結局、大きな流れではなく援助・ODAの一領域がちょっと広がっただけ、みたいな。GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)とか中国企業は、援助・ODAなどお構いなしに途上国ビジネス・イノベーションを開拓していく一方で、それは寂しい。いや、ブームは去るもの。それが自然なのか…。

どうもここ最近のイノベーションブームは、勿論ワクワク感はあるのですが、若干違和感を感じてもいます(単にオジサン、ついて行けてないだけなのかも…?)。好事例といえばM-PESAが取り上げられるけど、本当にM-PESAが盛り上がったのは一昔前だし、そんなに劇的に風向きが変わるほど、この1、2年でICT・イノベーションが脚光を浴びるほど明確な変化・論理的な根拠ってあったけなぁ・・・。

“イノベーション支援ブーム” への9件の返信

  1. 『この1、2年でICT・イノベーションが脚光を浴びるほど明確な変化・論理的な根拠ってあったけなぁ』には、「公的資金を原資として、見積もり合わせで調達可能な範囲では目立ったモノがなかった」と言えるのではないでしょうか(笑)。
    イノベーションを「調達」するのは難しいと思うのです。

    1. 『イノベーションを「調達」するのは難しい!』
      これって、かなり鋭いポイントだと思います。ドナーがやろうとしているのって、そういうことなのかも。
      勿論、官でも民でも10割を狙って出来ることじゃないので、ドナーのやろうとしていることが悪いという訳じゃないけど、ここ最近のイノベーション「バブル」に私が感じている違和感をうまーく表現してくれたフレーズな気がします。さすがOzakiさん!いつも斜に構えているだけありますね(笑)←良い意味ですよ!

  2. 私も昨今のイノベーションブームは冷めた目で見ています。(一番輝いてたのはジョブスが生きていて、Think Differentがあったあの頃?だから20年前くらいか・・・)
    先日のKanotさんのイノベーションとは何か?という話でも明らかでしたが、語そのものの定義すらはっきりしないわけで、それを「支援」するとはこれまた奇怪なものにならざるを得ません。Innovationに対応する動詞を考えると「Occur」とか「Happen」がしっくり来ます。これらは自動詞で、アクションとして「行う」ものではない、一種の現象、結果としてある状態を表しています。
    それは置いておくとして、スタートアップ支援で注目しているのはAfrilabsなどのイノベーションハブの横のつながりがかなり活況を呈して来ている、ということです。これも持続性という点で問題がないわけではありませんが、”Expression of tech”という意味では長い目で見守っていきたいな・・・と思います。

    1. 言葉の定義については、この国際開発ジャーナルでも取り上げられていました。「イノベーションは開発援助のバズワードとして盛り上がり、援助効果のスケールアップへの期待が高まっている。しかし、その言葉の意味は使う人によって異なる…」ということも書かれていました。やっぱり、違和感を感じている人や冷めた目線の人達も一定数いるってことですね。

      1. 今回のテーマは「イノベーション」ですが、過去にバズワードとされるものは多く出現していることから、ある程度の年齢の人なら既視感(あー、またかー)アリアリでしょうね。かつては「IT」そのものが、その後は「でぇたべぇす」「なれっじまねじめんと」「びっぐでーた」「えーあい」….これからもキャッチーなバズワードとは付き合い続けるのでしょう。
        バズワード出現のたびに「予算獲得のイイワケができたー!お偉いさんも認知しているしなー!」と割り切れるほどには、意識高い系になりきれない私ですが…(苦笑)。

  3. TOSHIさんがコメントされていたInnovationはHappenするものというのがすごくしっくりきました。

    個人的にはケニアのことしかわかりませんが、インターネットの普及が進んできていることや、techコミュニティが形成されてきていることに対する期待感はすごく強くあります。

    一方で、本当の意味でアフリカでイノベーションが起きる時は先進国に近づけるようなことではなく、誰も聞いたことがない独自の道を行くことになると思うのですが、国際機関や国がどこまで事例がないアイディアを支援できるのだろう、というのは気になります。

    さらに言うと、このようなプログラムから出資を受けるために先進国ウケしそうなアイディアばかりが出てしまわないか、と勝手に不安になったりしています。

    1. 『このようなプログラムから出資を受けるために先進国ウケしそうなアイディアばかりが出てしまわないか、と勝手に不安になったりしています』
      すでに、一部には『grantrepreneur』って言葉があるようです。詳細は検索してくださいね。

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