地域応援通貨による地方創生プロジェクト「Yell TOYAMA」

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こんばんは、Kanotです。昨日(2018年10月5日)に私も登壇させていただいたSDGsとブロックチェーンイベントのスピーカーの一人が、富山でブロックチェーンを活用した地域通貨を開発したSAMURAI Securityの濱川CEOでした。とても興味深い内容だったので、簡単にプレゼン内容を共有したいと思います。

——講演メモはじめ——

SAMURAI Securityはブロックチェーンという技術と、その裏にあるセキュリティに関するビジネスを行なっている会社で、今回はブロックチェーンを活用したYellという「地域応援通貨」を2018年11月から導入する

まず、地域経済活性化に大事なのはお金の流通であるにも関わらず、経済合理性を考えると、地方の企業や産業ではまったく大都市に太刀打ちできないのが現状である。例えば、田舎で人気がある(お金を生む)サービスは地元食堂より東京のチェーン店だったりする。経済合理性だけを考えると、全国展開している方が当然強いためである。そのため、地方創生事業というのは大半が失敗している。この仕組みで地方でお金を回すのは正直難しい。

では、経済合理性ではない価値を持つ経済が作れないか、というのが問題意識。そこで今回取り入れているのが、評価経済という考え方。評価経済とは、VALUAirbnbや、セサミクレジット(先日当サイトでも紹介)のように、経済合理性ではなく、人から得た信頼が価値を持つという経済である。

では、評価経済に基づく地域応援通貨とは何かというと、地域愛・愛情・情熱に価値をつけていく。例えば、夏の甲子園で金足農業が各地からパワーを集めたが、このパワーの源泉は地域愛や応援したい気持ちなどであり、こういった価値を経済に取り入れたい。

具体的には、地方ならではの資産を経済価値へ変えていく。ひと、物語、体験、自然などなど。

日本の地方創生は実質タコツボ化していて、東京を中心とする他地域主導で行われる主役不在の地方創生、年度で区切られる助成金などで持続的な投資が得られないなど、問題点は多い。

Yellで目指す世界は、民主主義による地域経済経営、ローカルとグローバルを結ぶ、そして地域愛の(愛情と情熱)価値観である。つまり、地域経済の共同体(COMMONS)となることである。

Yellは11/21にスタートする。まずは通貨、市場、メデイア、資金調達、顧客データの活用、といった分野を中心にはじめる。

————–講演おわり—————-

根底に流れるのは、現在の経済合理性を追求してしまうと地方では勝てないので、違う土俵、すなわち地方が持つ価値を前面に出した新しい地域通貨・応援通貨によって地方を活性化させたい、という思いと感じました。

また、プレゼン後の質疑応答にて、「ブロックチェーンによる評価経済」をどう富山の人の理解を得ていったかという質問に対しては、「相手によって言葉を使い分けている」とおっしゃっていたのが印象的でした。例えば、投資家に対しては「ブロックチェーン技術」という最新技術を前面に出し、富山の人たちには地元の価値の再発見・活性化といったビジョンを語り、自治体には安心感を持ってもらえるための情報提供などとおっしゃっており、なるほどなと感じました。

最近は飛騨や熊本、そして富良野など、ブロッチェーンなどを活用した地域通貨がどんどん生まれてきていますね。これらが本当に円とは違った価値を持つものに発展していけるのか、はたまた商店街券と同様に、ただの地域でしか使えない商品券と化してしまうのか、今後の展開がとても楽しみですし、応援していきたいと思います。

個人的には、やはり現在の主流である資本主義経済・共産主義経済ではない新しい形の皆が幸せになれるような経済が産まれるのを見てみたいという思いは非常に強く、もしかしたらそういう歴史の転換点にいるのかもしれないというワクワク感があります。

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