芝麻信用(セサミクレジット)を信頼出来ますか?

3. その他
Source: https://note.mu/future392/n/ncdbc8549d220

ども、Tomonaritです。先日、とても面白い記事を読みました。「華僑心理学No.2 なぜ、中国人はモラルがないのか?」という記事。タイトルにあるように、「中国人はモラルがない」と思っている日本人は多いですが、その背景をしると「な、なるほど〜」と納得感があります。と同時に、そういう先入観ってくないなと反省もしました。詳しくは、是非、この記事をそのものを読んで下さい(この方の他の記事もとても面白い!)。

で、じゃICT4D的にどうなの?ですが、この記事の中で芝麻信用(セサミクレジット)というサービスが紹介されており、これが非常に興味深いです。以下、この記事からの抜粋です。

セサミクレジットは、ジャックマー率いるアリババグループが提供する、個人または法人の信用力を350点~950点の間で数値化してくれるサービスである。

スコア算出の基準は、「個人特性」「支払い能力」「返済履歴」「人脈」「素行」の総合点で評価され、スコアの数値が高ければ高いほど、信頼度が高いと評価され、さまざまな特典が享受できる。

支払能力及び支払い履歴は、アリババ社が提供する様々なサービスの利用履歴にひも付けられている。これに加えて、顧客自身から提出された個人情報(勤め先証明、収入証明など)とともに、AIが自動で点数をつけていく仕組みである。

なるほど。。。ありそうでなかった仕組みが中国で出来たのね。しかも随分前に。そして、この信頼度のスコアが高いと、以下のようなサービスが受けられると、こちらの記事「中国の社会信用スコア「芝麻信用」で高得点を狙うネットユーザー」にありました。

  • 阿里巴巴系の旅行予約サイト「去a(aは口へんに阿)」でホテルを予約すると、ホテルでのデポジットが不要となる(600点)
  • 賃貸サイト「小猪短租」で敷金が不要となる(600点)
  • 提携するソーシャルファイナンス(P2Pファイナンス)や消費者金融で審査がすぐに通る。一部サイトでは利率が下がり、返済期限が延ばせる(600点)
  • 全国展開のレンタカーサービス「神州租車」でデポジットが不要となる(650点)
  • 上海図書館でのデポジットが不要となる(650点)
  • シンガポールビザがとりやすくなる(700点)
  • 北京空港の専用出国レーンが通れる(750点)
  • ルクセンブルクビザがとりやすくなる(750点)

「ビザが取り易くなる」ってのは凄いな。また、この芝麻信用(セサミクレジット)については、実際に中国人の方5名の信用力スコアを比較しているこちらの記事「中国で普及する「人間バーコードバトラー」の深い闇」もよりリアルな感じで面白いです。

さて、このサービスに近い話をどっかで読んだな…と思ったら、「ブロックチェーン・レボリューション  〜ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか〜」という本にあった以下の記載でした。

  • アフリカの奥地に住む人が電子ウォレットを活用し、世界中で得た評判をもとに「ほら、これだけ信用があるんですから起業資金を貸して下さい」と言うことだってできる。

  • ナイジェリアの人がいきなり商売をしたいと言って来たら、まず疑いますよね。ナイジェリアのクレジットカードや小切手を渡されても、正直信用出来ない。でもブロックチェーンなら、相手が誰だろうとすぐに信用出来ます。以前は無理だった取引が可能になるんです。

これは、芝麻信用(セサミクレジット)が提供するサービスに類似していると感じました。

そして、一方で、自分が芝麻信用(セサミクレジット)やブロックチェーンを活用した類似のサービスから得られる信用度をどれくらい信頼出来るかなぁ?と考えてみると・・・。正直、ほとんど信頼出来ないと思います。何故か?

  • 自分が使っていないサービスだとピンとこない
  • 芝麻信用(セサミクレジット)の場合ならそのAI、ブロックチェーンならその仕組み(ブロックチェーン技術を含む包括的なサービス全体)、を信頼出来る根拠がない
  • そもそもサービスを提供している会社を信頼出来る根拠がない
  • すごいスコアが高い人ほど、なにか裏があるように思えてしまう
  • それしか情報がないならまだしも、それ以外の情報も入手出来る

と、上記のような理由が浮かびました。これがGoogleとかAmazonなら、それなりに信頼してしまいそうですが、それでも100%は無理だなあ。やはりどうしても、信頼が置ける組織がオーソライズしているというお墨付きが欲しくなってしまうのです。

こう考えると、結局テクノロジーによって何も変わらないというネガティブな話になりそうですが、それは違うなと。今まで信用度を測る術がなかった人達についても、完璧ではないにせよ信用度を測る仕組みがテクノロジーによって出来たという点はとても大きな変化だと思います。

いきなり100%信頼するのは無理でも、その他の術と組み合わせて使って行くことで、実用的になってくるのかも。また、テクノロジーが実現可能にするサービスを有益なかたちで社会に組み込むための制度や法律などが整えることが重要。なんでもかんでもテクノロジーだけに期待しちゃいかんですね。

そういう変化を後押しするためにも、自分ももう少し冒険心をもって新しいサービスを信頼してみようと思いました。

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3. その他

コメント

  1. Ozaki Yuji より:

    芝麻信用については、MUFGが銀行らしく(信用調査は銀行や金貸しの基本業務だから)取り上げてますね。これが元ネタかな。
    https://innovation.mufg.jp/detail/id=244

    中国の国家がやろうとしている社会信用システムもすごいな、と。こんな国家的システムがあれば日本でも五輪ボランティアは放っておいても集まる集まる、と考えている人がいそうな感じはするけどディストピア風味。

    儒教(中国人的には政治学らしいので儒学かな):
    日本でも、天人相関説(政治が乱れると天災が起こる)や有徳論(不徳の致すところで…)、忘八(八つの徳目を全部忘れた人のこと。仏教ミックス)、四の五の言うな(儒学の経典:四書五経が由来→元号もその中の経書由来)、士農工商とか官尊民卑(朱子学→分をわきまえろ→身分制度の維持)、記憶力一発勝負(儒学の経典を全記憶→科挙合格→進士及第:士大夫つまりは行政職公務員どうしの議論における前提条件)、文官>武官、あたりがおそらく儒学由来のネタだと思います。なお、孟子の放伐論は日本では根付かなかった模様。

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