ども、Tomonaritです。新年ということで、2024年の抱負的なものを考えていたら、「そうだ!今年中に読んでみたいICT4D関連の読書リストを作ってみよう!」と思い立ちました。これまICT4D分野の日本語の本って、かなり少ないと思っていたのですが、ここ数年で状況も変わってきたような気がします。独断と偏見で以下5冊をピックアップしてみました。
著者は東京大学の伊藤亜聖氏。2020年10月に出版された本です。当時、アフリカのスタートアップ支援とかイノベーション促進といったテーマのセミナーで私も伊藤氏の話を数回聞いたことがありました。いずれも興味深い話だったので、先ほどAmazonでポチってみました。正月休みの課題図書です。
デジタル技術の進化は、新興国・途上国の姿を劇的に変えつつある。中国、インド、東南アジアやアフリカ諸国は、今や最先端技術の「実験場」と化し、決済サービスやWeChatなどのスーパーアプリでは先進国を凌駕する。一方、雇用の悪化や、中国が輸出する監視システムによる国家の取り締まり強化など、負の側面も懸念される。技術が増幅する新興国の「可能性とリスク」は世界に何をもたらすか。日本がとるべき戦略とは。
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ラーニング・レボリューション ― MIT発 世界を変える「100ドルPC」プロジェクト
ICT4D業界では超有名なOLPCについての本(このブログでもなんども関連する投稿がありましたね)。2014年の本ですが、未だ読んだことがなかったので改めて読んでみようと思っています。Amazonのレビューのなかで、「OLPC プロジェクトの成功と失敗について開発リーダーが赤裸々に語る本。あれだけ話題になった教育プロジェクトが実際どのような成果を挙げたのかを知ることが出来ます。同時に、失敗の原因についても詳しく書かれているので、教育関係のプロジェクトを進めている方にとっては興味深い内容でしょう。」というコメントがあり、今年はICT for Education分野のプロジェクトに従事することもあり、読んでみたいと思いました。
すべての子どもが1人1台
パソコンを手にしたら
この世界はどう変わるだろう。「100ドルのパソコンをつくってみせる」。まだタブレット端末やネットブックが普及していない時代、たった100ドルで地球のどんな場所でも使える最強のパソコンを貧困国の子どもたちへ届けようと、MITメディアラボでスタートしたプロジェクト、「OLPC(=One Laptop Per Child (すべての子どもにパソコンを) )」。
このパソコンは、どんな環境で暮らす子どもでも使えるタフなつくりで消費電力も最大僅か2Wだが、ただパソコンとして優れているだけではない。
搭載の学習ソフトでは、教師に教わる受け身な「勉強」ではなく、自らプログラムをつくったり友人同士で教え合う自発的な「学び」が体得できる。
OLPCのゴールは、途上国のすべての子どもたちにパソコンを配ることではなく、彼らの学びを促進して彼らが社会変革を起こすようになることなのだ。構想から約50年、世界60か国に広がる「OLPC」。
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子どもたちの学びをもっと楽しく、もっと自由に、生き抜く力を得るために――
「Development(国際開発)」に関連するの?と思うかもしれないですが、サイバーセキュリティ分野も昔からODAで支援されている一分野です。ちょうど今、サイバーセキュリティ分野のプロジェクトに従事していることもあり、読んで勉強しようと思います。ちなみに、3名の著者の一人は以前、この調査でお世話になったJPCERTの小宮山さん。友人が書いていることもあり読みたいと思いつつ、まだ読めてないのでこちらも正月休みの課題図書にすべく、さきほどポチってみました。
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現代の戦争は我々の「頭の中」でも起きかねない
新時代に必要な情報安全保障について、
ロシア軍事専門家の小泉悠氏はじめ気鋭の専門家3人が提言する!
――――――――――――――――――――――――――――――――人間の「認知」領域は新しい時代における闘争において重要な要素を占めることとなり、
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国家の安全保障上の一つの焦点となるであろう。
しかし、日本ではまだその重要性や脅威について認識が高まっているとは言えない。
我々はディスインフォメーションをどのように理解し、備えるべきなのか――。
ロシアの軍事専門家・小泉悠氏をはじめ、新進気鋭の若手専門家3人が立体的考察を試みる!
中国の「一帯一路戦略」は国際開発に携わっている人ならお馴染みだろうと思いますが、「デジタルシルクロード」というワーディングは必ずしも知られていない気がしました。なので読んでみたいなと思いました。どの国のICT4D分野でも(といういうか分野問わずか・・・)中国の動きは要チェックですね。
中国の一帯一路戦略には、通商・金融以外にもう一つの顔がある。それはデジタル戦略だ。一帯一路デジタル経済国際協力イニシアチブ(デジタルシルクロード)は、一帯一路の情報通信分野における構想である。これに対して米国などは、安全保障上の懸念、知財の窃取、およびプライバシーの面において中国由来の技術は潜在的に高いリスクを抱えていると指摘している。しかし、こうした視点だけでは中国による影響力拡大の目的を理解するのに不十分だ。なぜ多くの国がこれらの技術を受け入れるのか、低コスト機器に付随するリスクは何か、または中国の技術を通じた影響力はどのように効果を上げるのかを明らかにする必要がある。
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そこで本書は、デジタルシルクロードについて、国際政治におけるパワーをフレームワークとして、経済、安全保障、及び技術という要素、インド・太平洋という地域の地政学からその目的と影響力を明らかにする。
地政学、安全保障、国際政治におけるパワーの行使という独自の観点から、中国の一帯一路のデジタル分野での取り組みであるデジタルシルクロードの影響力を読み解き、インフラ整備、5G、デジタルプラットフォームの拡大を示すと共に、中国の技術・経済・外交的な影響力拡大の状況と対抗策を示す。
通信地政学2030 Google・Amazonがインフラをのみ込む日
どっちかというと「ICT for ○○(教育とか保健とか農業とか)」という各分野でのICTの利活用に注目しがちで、その土台となる「通信インフラ」についての情報ってそこまで出回っていない気がします。JICA時代には通信インフラ案件にも携わっていましたが、コンサルになってからは疎遠になっている分野なので情報のアップデートのためにも読んでみたいと思います。
今や誰もがスマートフォンを持ち、インターネットを使う。ネットなしの生活など考えられないくらいだ。その隆盛を土台として支えてきた通信インフラが巨大IT企業や政治に揺さぶられている。
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既に海底ケーブルはその多くがグーグルやアマゾンなどの巨大IT企業が敷設するようになった。これまでNTTなど通信事業者の牙城と思われてきた、電話のコアネットワークにもこれらの企業が進出しつつある。
一方で、ウクライナ戦争に端を発し、政治によるインターネットの分断も進む。5Gでも米中の分断が起こっている。これまでの開かれたネットの世界は夢幻になっていくのか。
こういった巨大ITや政治の力がネットを揺さぶる中で、日本はこれからどのようにしていくべきか。NTTは独自のIOWN構想でその存在感を示そうとする。
本書は、このような激変期を迎えた世界の通信に関する動きに、地政学という切り口でフォーカスを当てる。これらの動きから、来る2030年代の情報通信の世界を展望する。
以上、5冊をリストアップしてみました。上半期で全部読むことを目標にしようと思います!
しかしこう見ると、”for Development”に特化した日本語の本はやはり少ない気がします。安全保障とか地政学とかそっち系の方が需要があるのかな。
ちなみにこのブログで過去に紹介した書籍は、以下のリンクから見ることができます。「あれ?ICT4D読書リストってのに、どうしてあの本が入ってないの?」と思った人。以下のリンクを見てみてください。
https://ict4d.jp/category/others/book/
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