以前、このブログでも話題に上がったOLPC (One Laptop Per Children)。
色々と議論のある中で、ちょっと感じることを書いてみます。
前回のMakiの投稿にもあったように反対派の意見としては、
◆わざわざOLPCやんなくとも、もっと高性能なノートPCがもうちっと金出せば買えるレベルにあるじゃん。
とか、
◆途上国にノートPCを導入することで「テクノロジーを第三世界へ!」みたいな偉そうなこと言うのは勘違いだろ?
アフリカの田舎でもみんな携帯電話使ってるっての!
さらに、
◆そもそも学校教育でPC使っても、簡単には教育の改善につながらないって!
といった意見が。
特に最後の「そもそも論」的なところに関して、世銀のPrivate Sector Development Blogにこんな投稿が。
学校教育にPCを活用するコロンビアのプロジェクト(OLPCではない)の事後評価では、
各学校のPCの数は増えたが、生徒のテストの点数、勉強時間、生徒同士の関係、学校の印象等には殆ど影響が見られなかった。
(Smackdown of the OLPC Smackdown: by Ryan Hahn)
貧しい子供達にPC購入補助として金券を配布したルーマニアのプロジェクトの事後評価では、
PC購入後に、子供達の勉強時間が減り、しかも成績がほかの子供よりも下がる傾向にあったことが指摘された。
(Xbox for the Developing World?:by Ryan Hahn)
と、Hahn氏の辛口意見炸裂。
でも、こういうのって、きっと一概には言えなくて、教室でのPCやOLPCがハマる地域や学校があるのも確か。
PC導入のおかげで、教育へのアクセスが改善されたというレポートも沢山あるし。
失敗例のみを取り上げて「だから駄目」ってのは、ちと違うかと。
結局、どんな状況だと上手く言って、どんな環境だと上手くいかないといった傾向を事後評価から得ることが大切なんだろう。
そして、その結果を次に活かす!と。
しかし、ハイチでのOLPCのインパクト調査をInter-American Development Bankがやるらしいが、その費用が、なんと・・・・、
5,100,000USD!!だとか。
うーん、なんか考えちゃいますね。。。
コメント
うーん、OLPCさらにsmackdownですね。
基本的なコンセプトは良いと思うのだけど。
”子供一人一人にPCを”というのはいいけど、やはりそれが専用端末である必要はない気が私もする。
でも、効果の測定だけを成績でやってしまうのはチョット厳しいよね。もしかしたらほかの成長がその子供たちにはあるのかもしれないし。
ていうかそのインパクト調査、中止!
ホントに物事の評価って難しいと感じる今日この頃です。
特に開発関係は、極めて困難。
せめて、企業ならも少しシンプルな指標があるのかもしれないけど、「開発」って何を目的としているのかですら意見がわかれるもんね。
OLPC終了のお知らせ?…
まあ、元ネタがGigazineとか価格.comなんで アレさ爆発なんですが、ネットブックという いわゆる廉価型ノートPCの価格がグリグリと 下がりそうな感じで、元祖100ドルPCとして 名を馳せてい…
評価調査を生業としている身としてはこのような評価結果は痛いです。そもそも比較するための物差しを何に設定するかによって、結果が大幅に変わるので、恣意的になる余地があることも否定できません。しかし、これがゲームのルールなので、結構しょうがない面もある。不完全だから、発展の余地があるし、失敗しながら学び、学びながら改める、というスタンスが開発の現場のありようだと思います。
現場で仕事をしていると、PCも含めた機材や箱への要求は高いです。PCはもはやコモディティ化していて、紙や鉛筆に近づいたともいえます。情報の非対称性を埋めるためにも大切なツールではあるのですが、北と南、持つ者と持たぬ者の差の拡大・依存の関係を強めるなど、問題があるのも事実でしょう。しかし、だから供与しないという選択はあまりに現実を見ない話で、100人のうちの一人でも、PCによって機会をつかんだのであれば、良いという観点・論点があってもいいのかもしれません。これは、既成の奨学金あたりと同じような議論で、ある程度の歩留まりがあれば、よしとする見切り方も必要なのかもしれません。
PLPCが果たした(果たしている???)役割は、非常に大きいと思います。もしあのプロジェクトがなければNetBookは絶対に生まれてこなかったとおもうのです。少なくとも不況とはいえ、3年くらいは後回しだったんじゃないでしょうか?あのコンセプトは、結果的にコマーシャルベースでそれに近いものを作り出してきた、と感じています。(商業的には、全く異なったコンセプトの商品ですが…。)
たしかに、OLPCが業界にもたらしたコンセプトが最近のPCの計量&低価格化に与えた影響というのは大きいですね。
丁度最近(3/10)の投稿で、”Creative Destruction”というテーマで記事を書いていたのですが、OLPCのコンセプトもきっと業界に新しいものを生み出す”Creative Destruction”だと言えるのかもしれない、と思いました。http://ict4djapan.wordpress.com/2009/03/10/%EF%BD%89%EF%BD%94%E6%A5%AD%E7%95%8C%E3%81%AE%E2%80%9D%E5%89%B5%E9%80%A0%E7%9A%84%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E2%80%9D/
[…] as a Mission or a Market ? OLPC続編 前の投稿でもOLPCにはついては何度もふれてますが、 […]
お久し振りです(__)
ちょっと気になったエントリだったんで遅いコメントですが失礼して
個人的な体験ですが
PCをゲーム機として使いたい!という欲求から私の場合取っ付いたもので
8bit機世代なので雑誌のソースリストを日々打ち込んでゲーム三昧だったわけです
ファミコンのソフトは高いけど
雑誌一冊で10以上のゲームが付いてたんで
嬉々として打ち込んでました
その内、パソコン通信に目覚めて ダウンロード!みたいな感じですね
おかげで基礎的な言語や操作、OSなどへの知識は勝手に身についてたので
ICTリテラシの向上にはPCを子供に与えて好きに遊ばせる
という事は意義があると考えています。
ウチの団体でも、寄付のPCに言語開発用の環境とゲームの一画面プログラムリストを付加して渡そうと考えています
教育現場での反応は良いか悪いか微妙ですけど(^^;
楽しみながら覚えるのが一番早いですからね
徒然ですいません
ではでは また!
Cresさん、お久しぶりです!
学校でのPC利用を考えたとき、「ICTリテラシー向上」のように、ICT教育そのものを目的にするって方が、コンセプト的にはマッチする気もしますね。算数や理科の為にPCを使うって考えると、確かに悪くないけれど、他の選択肢(教員のレベル自体を上げるとか)と比較したときに、本当にPCが費用対効果や持続性の点でベストなのかがぼやけてくる気もしますし。
コメント返しありがとうございます
「ICTリテラシー向上」という謳い文句はカリキュラム的にも
上を口説きやすい気はしますね
また、知育的なゲームが効果あるかは
ニンテンドーDSなどによって日本で効果の証明は出来そうなので
研究者やデータを探さないといけないですけど
データは集めやすそうな気がします
時間あるときに調査してみますので
レポート書けたら送りますね
ではではー