ちょっと古いけど、この記事をICT4Dプロジェクトのテクノロジーとはどうあるべきなのかを考えた。
“Leading Indian MFI Cashpor Adopts ClassifEye Secure Mobile Transactions Solution”
http://www.allbusiness.com/banking-finance/banking-lending-credit-services-electronic/11682159-1.html
概要:インドのCashporとい比較的大きなうマイクロファイナンス機関が、業務効率化やセキュリティの強化のため、Biometricsを利用した携帯電話のカメラを利用したアカウント認証システムを導入したということ。
たしかに取り扱い金額が少ない輪に割には、入出金が多く、トランザクションコストのかかるマイクロファイナンスのオペレーションにおいてはICTの活用による業務の効率化は妥当かもしれない (Pichai and Ganesan, 2006)。けれども本当にその効果は高いIT導入費用に見合っているんだろうか、とIT会社にいたときの感覚を思い出す。思えば、初期のICT4Dプロジェクトの失敗の原因の多くは、通常の先進国でのビジネスと同様な方法で途上国相手に同じ”ICT”を当てはめようとしたことにあるんじゃなかったっけ?
これとは正反対に、世界のNo.1IT企業のMicrosoft Researchを訪問したときのケーススタディは面白かった。
“An assessment of Pradan’s ‘Computer Munshi’ intervention to improve microfinance accounting operations”
http://research.microsoft.com/apps/pubs/default.aspx?id=78275
概要:PRADAN はSelf-Help Group(女性の相互扶助グループ、SHGs)に対するマイクロファイナンスのサービス提供を実施しており、これまでに90,000人ものクライアントを支えてきた。兼ねてより問題であった、SHGs内のあいまいな金銭レコードの管理や財務データの不整合性を解決するたMicrosoftと共同で、オペレーションのワークフローの改善を実施した。実施内容と効果は以下の通り。
実施内容:1.SHGsを取りまとめる組織(Federation)に会計係とPCを設置する、2. 会計係はレコードの管理と計算、及び支出をプリントする. 3.SHGsからFederationに対して、定期的にデータを(紙)持ち運ぶ仕組みをつくる
効果:1.SHG内の毎週のミーティングの時間はほぼ半分になり、計算の正確性または、紙でアカウント状況を把握することにより、メンバー間の信頼が増した 2.金融機関との連携にあたり、レコードが管理されたSHGsは信頼性を得やすい。3.MFIsとしての評価の実施がより正確にできる。
これって、、すんごいローテク。この研究者のRatanさんと話したときも”ローテクが重要なのよ!”!って豪語してた。要するには、Beneficiaries(受益者)にあったものをということなのだけれど、IT業界天下のマイクロソフトのハーバード卒の研究者が言うセリフだと思うとつい面白かった。
一方では生態認証にカメラ付ケータイ。もう一方では、エクセルでつくったプリントを自転車ではこぶ。
個人的には後者のほうが好きだな~。
*Pichai, H. & Ganesan, S. (2006) Study of Delivery of Financial Services in Rural Areas through ICT, Indian Inst i tute of Management , Bangalore
コメント
ローテクが大事ってのは確かに同感しますね。
そして、「何」を使うかよりも「どう」使うかが重要なんだろうなぁと感じます。日本の組織でシステム導入するときも、きっと同じなんだろね。
うん、新しい技術についそそのかされがちだけど、
やりたいことを実現するためのITが必ずしも最新技術である必要はないよね。