こんにちは、Kanotです。前回の投稿で「イノベーションてなに?日本語のイノベーションと英語のInnovationってホントに同じなの?」と書いたところ、色々な方がリアクションしてくれて非常に興味深かったので、1. 理論、2. 読者コメント、3. 米国の教授コメントとしてまとめてみました。
- イノベーション理論
まず、アカデミックな世界での言葉の定義ですが、イノベーションという言葉は経済学者シュンペーターによって1911年に以下のように定義づけられたものが最初のようです。(Wikipediaより)* 新しい財貨すなわち消費者の間でまだ知られていない財貨、あるいは新しい品質の財貨の生産
* 新しい生産方法の導入
* 新しい販路の開拓
* 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
* 新しい組織の実現これだけ読むと、定義は非常に広く、新しい考え方を伴うものはなんでもイノベーションと呼べそうです。この後、クリステンセンによる「破壊的イノベーション」などの定義により、より斬新なものが現在のイノベーションのイメージに近づいてきている可能性もあります。
- 読者コメント
T1氏:イノベーションのキモは「発想の転換」。イノベーションは破壊を伴うものであり、最適化であるKAIZENとは異なるもの。KAIZENは大企業に相性が良く、イノベーションは挑戦的な企業に向いている。
O氏:イノベーションを軽く口にする人は特許や実用新案を期待してると思われる。また、出したその時に評価を得ているとは限らない。
T2氏:イノベーションはKAIZENとは異なるすごいことという印象がある。欧米人でもイノベーションを凄いことと考えてる人たちはいるはず。
T3氏:イノベーションとは、「革新的」より「非連続」、という印象。
K氏:大洋州の孤島の村外れの共同トイレ(大きな穴)が、雨後は足下がぬかるんで危ないので、捕まって用を足せる杭を立てたら村人達に喜ばれたと聞いた。これがイノベーションの例と思う。
皆さんコメントありがとうございました。皆認識が合ってるような、少しずつ違うような・・・。やはりイノベーションという言葉には「凄いこと」「破壊的なこと」というニュアンスが強く出ているように感じます。K氏の例はKAIZENの考え方に近いかもしれません。
- 米国の教授コメント
また、せっかくなので英語話者の意見も、と思い、アメリカの情報科学の教授に同じ質問をしてみました。Innovationという言葉は、nov(語源としてnewの意味)が含まれてることもあり、新しい変化の事を指し、非常に広い意味を持っている。Invention >= Innovation >= KAIZENといったところか。一方、最近のbuzzwordとしてのinnovationは、any positive change(どんな前向きな変化)もinnovationと呼ぶフシがあり、はっきりいってmeaningless(意味のない言葉になりつつある)だ。
- まとめ
教授コメント後半の、「どんな前向きな変化もイノベーションと呼ぶフシがあり、もはや意味のない言葉になりつつある」という点は、私の違和感に対して非常に合点のいくものでした。つまり、日本と外国で使っているInnovationの定義(そもそもの意味ではなくbuzzwordとしての定義)が違う可能性があるという私の予想はある程度正しいのだと思います。ということで、私からのメッセージは、我々が国際社会で生きていく中で、buzzwordであるinnovationに出会った際は、「ムムム、さすが海外の人はすごい事いっている!やはり教育の差なのかなぁ。」などといったリアクションではなく、「はいはい。any positive changeのinnovationね。そんくらいなら俺もわかるよ。」と冷静に見ることが大事なんだと思います。
コメント
お久しぶりです!JICA古川です。
今UCLでイノベーションの経済学を勉強してますが、広義のイノベーションはInvention, Innovation, Diffusionを含むと言われました。
仰るとおり曖昧ですね。
定義が雑という意味では”Smart City”とかを思い出しました。
古川さん、お久しぶりです。イノベーションの経済学、面白そうですね。そして確かにSmart Cityもなんでもありですよね。狭義ではスマートグリッド、広義ではイケてる都市。
ちょっと遅いレスで申し訳ありませんが、あれから考えていたところ、要するにinnovationというのはコンテクスチュアルなものなのではないかと思いつきました。だから、その単語自体、単語自身の意味を正攻法にたどっていってもmeaninglessになってしまう。つまり、使うときにそのコンテクストと意図する意味をちゃんと定義してやる必要があるのではないかと。
[…] また、静岡県立大学の島田准教授のコメントであった、「シュンペーターのinnovationはまだ生きているのか」という指摘はまさに私が「イノベーションってなに?」や「イノベーションはもはやmeaningless??」でも提起したイノベーションの定義に関わるものでした。やはりイノベーションっていうのは生き物なんだなぁ、と改めて感じました。 […]
[…] 以前、「イノベーションはもはやmeaningless?」という投稿でも書きましたが、なんか巷ではイノベーション=ITを使ったイケてる改革、的な風潮があり、そこに違和感を感じていました。 […]
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[…] 以前のKanotの投稿「イノベーションはもはやmeaningless??」にもあったように、イノベーションという言葉は曖昧な定義のまま、なんとなく高度な「技術革新」というイメージをまといな […]
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