XR for Development: 国連によるAR技術を活用した平和ポスター募集など

イノベーション・新技術

国連がAR技術を活用した平和ポスターを募集

ども、Tomonaritです。知人から「国連がAR技術を活用した平和ポスターを募集してるよ」と言うニュースを聞きました。以下、国連のWebサイトからのコピペです。

国連が創設75周年を迎える今年、政治・平和構築局とArtivive社は、拡張現実(AR)技術を活用した、平和創造と平和構築に関するポスターの作成をアーティストに呼びかけています。

主なテーマは、「平和の未来」「争っていた者が手を取り合えるように」「紛争地帯にいる人々のあいだの橋わたし」です。また、国連のこれまでの活動を基に、アーティスト自身が考える平和の意味を表現することも推奨されています。

特に質の高い10点の作品は、ニューヨークの国連事務局本部ビルに1年間展示されると同時に、Artiviveのウェブサイトでも展示される予定です。

作品の提出期限は2020年7月31日深夜(米国・ニューヨーク時間)です。

募集要綱や提出方法、選考に関する詳細はArtiviveのこちらのウェブページをご覧ください。

https://www.unic.or.jp/news_press/info/37483/

日本語の作品も応募可能ということなので、関心のある方はぜひ、国連広報センターのWebサイトArtiviveのこちらのWebページをチェックして見て下さい。

XR for Development

また、国際開発におけるVRの活用ってどのようなものがあるのか?という観点で関連する取り組みをピックアップして見ました。

『Clouds Over Sidra』
多分これが一番有名なのではないかと思います。2015年1月に開かれたダヴォス世界経済フォーラムで上映された3D VRムービーで、ヨルダンの難民キャンプの生活をシリア人の女の子(12歳)の目線からとったものです。映画の最後には寄付を募るメッセージがあり、なんと約38億ドルの寄付が集まったと言います(一回の上映じゃなくて複数のイベントで国連が上映した結果)。「国連がSamsung Gear VRでシリア難民少女を撮った3D VRムービーを制作」というタイトルでTechCrunchでも当時とりあげられてました。

『Ground Beneath Her(彼女の下の大地)』
2015年にネパールで起きた震災後に、奮闘する14歳の少女の物語をVRを使って撮影したもの。震災後1年経ってもまだまだ復興への活動支援が必要ということを訴える意味で、国連のクリエイティヴディレクターが地震後からネパールで活動を続けている国連開発計画(UNDP)の要請を受けて制作した作品です。WIREDに「国連はVRを使って「忘れられた街」の現状を伝えている:震災後のネパールで奮闘する14歳の少女の物語」という記事で取り上げられています。

『The Nepal Quake Project』
同じくネパールの震災を撮ったVR動画で、RYOTというVRスターアップが作成したもの。YouTube、Facebook、Gear VR、そしてRYOTのアプリで10万回以上再生された他、複数のイベントで上映され、15万ドル以上の募金につながったという。こちらもWIREDに「VR報道の光と影」という記事で詳細が書かれています。


こうして見ると、どうやらファンドレイジングにVRを活用するケースが主流のようです。上記のWIREDの記事の中で、「VRは、これまでにない共感を生み出すことができる」、「寄付集めのための究極のツールだ」と言うRYOTの代表の発言が出ています。実際、RYOTは、複数のNGOからの依頼を受けて動画を制作しており、「学校設立を支援する団体「Pencils of Promise」のために制作したガーナの学校の映像は、同団体の年次総会で上映され、190万ドルの募金を集めた」とあります。

こうした取り組み以外にも、遠隔での技術指導にXR技術を活用すると言った可能性お大いにありそうですが、途上国の通信環境を考えるともう少し先になるのかも。

と思ったら、UNESCOからこんなレポートが公開されていました。

Beyond Access: ICT-enhanced Innovative Pedagogy in TVET in the Asia-Pacific

この中で、シンガポールのInstitute of Technical Educationという政府機関が取り組んでいるVRやARを活用した職業訓練の事例が紹介されていました。危険な作業の訓練をVRを使って行うことや、ARを使って空気燃焼を学ぶことが既に行われています。

Source: UNESCO(2017) Beyond Access: ICT-enhanced Innovative Pedagogy in TVET in the Asia-Pacific, pp.39.
Source: UNESCO(2017) Beyond Access: ICT-enhanced Innovative Pedagogy in TVET in the Asia-Pacific, pp.40.

この事例はシンガポールのものですが、このレポートはUNESCOがマレーシアで実施しているMalaysia Fund in Trustというプロジェクトの一貫のようなので、似たような取り組みがASEAN新興国でならもう始まっているのかも。この辺はまた調べて見たいと思います。

コロナの影響で遠隔〇〇の重要性が高まっているだけに、XRの活用もこれから盛り上がって来る可能性がありそうですね。

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