国際開発学会をICT4D Labがハック!?

アカデミック

オンラインコミュニティ「ICT4D Lab」を始めて1年強、おかげさまでメンバーも70名程度の規模になってきました。普段は基本的に内部の勉強会を中心に活動していますが、今回は外部に向けた活動として、国際開発学会第31回全国大会で研究発表させていただきました。

ちなみに、過去の外部向け活動は、2020年5月の公開勉強会(のべ1000人参加!)。2020年8月から始めたPodcast「Behind the ICT4D Lab」の配信です。

まず、最初に誤解を受けないようにお伝えしておきますが、ICT4D Labは研究者集団ではありません。実際、8割方はITもしくは国際開発の実務家で、1割程度が学生、1割程度が研究を主とした活動をしている方に幅広くご参加いただいています。

さて、この度、2020年12月5日・6日にオンライン開催された国際開発学会第31回全国大会にて、ICT4D Lab内での活動がきっかけとなった研究発表を2つプレゼンさせていただきました。Labメンバーのうち、研究経験のあるメンバーがリードする形で今回の発表につながりました。

発表1:Forecasting IDP’s Movements with AI

「次世代の平和構築―ウィズ コロナの時代の平和構築のあり方、人工知能の活用、社会的投資の役割―」という企画セッションの一つの発表として、オープンデータとAIを用いてコンゴ民主共和国における難民の移動予測モデルを作ることは可能なのかという検証を行った研究結果を発表しました。

このプロジェクトとしては、LabのPeaceTech部の活動として始まったもので、興味を示した10名以上の実務家・研究者メンバーが分担分けをしながら分析・執筆等を行いました。

Publish前なので、詳細は割愛しますが、オープンデータや衛星データを活用してモデルの検証をしました。

このセッションでは、他にも難民に対するインパクト投資といった新しい形の難民支援の提案があったりと、平和構築へのビジネスやテクノロジーの応用という点で大いに議論が盛り上がり、制限時間内にコメントが終わらないほどの大盛況ぶりでした。

なお、このプロジェクトの進め方に関する詳細は、プロジェクトリーダーの大石さんが連載記事として計7本、記事を投稿してくれていますので、そちらをご覧ください。

ICT4D Lab | ICT for Development .JP
世界中のICT and Development関連のトピックを日本語で

発表2:国際開発におけるDX推進のボトルネック

「市民社会・参加」というカテゴリの一つの発表として、国際開発におけるDX推進のボトルネックおよび、今後の国際開発人材とICT人材がコラボレーションしていくにはどのようなアプローチが有効かについて調査した結果を発表しました。

この研究では、フォーカスグループインタビューをもとに、国際開発業界とICT業界のギャップを、ICTスキル、コミュニケーション、案件形成、プロジェクトマネジメントの4つの点で分類し、それらギャップを解消していくためのアプローチを議論しました。私がJICAで働いていた時にも感じていた認識ギャップなどを、ようやく形式知化できたようなホッとした思いもあります。

このセッションでは、企業・開発機関・NPO・NGOなど様々なアクターがどのように連携していくことが、国際開発に効果的であったり、持続性や課題につながるのかについて議論がなされました。

所感

これまで国際開発学会ではICT関連の発表はとても少なかったので、Lab関連の発表が浮いてしまわないか心配だったのですが、どちらの発表もたくさん前向きな質問、コメントいただき、とても楽しく有意義な意見交換をさせていただく場になりました。

両方の研究とも、プロボノとして進めたものですので、正直なところ、まだまだ荒削りな内容ではありました。一方、大学や企業ではなくこういったコミュニティでも研究発表できるんだ、という実績を作れたという点では自信にもつながりますし、コミュニティを開始した当時はまさか学会で発表するとは想像もしていなかったので、私自身とてもLabメンバー間の予想を超えた化学反応に驚きと喜びを感じています。

終わりに

ICT4D Labでは、国際開発・IT・実務・研究それぞれを専門とする多様な人材が集まるプラットフォームにすることで、国際開発のDXに関しては、産官学どの方向にでも一石を投じれる人材輩出コミュニティを目指したいと思ってます。

なにはともあれ、業務外にも関わらず多大な時間を使ってデータ分析・文献調査・執筆をしていただいたPeaceTech部のみなさん、そしてIT人材と国際開発人材のギャップ認識調査のための座談会に参加いただいた方々、そしてプロジェクト案やプレゼンに助言等いただいたLabメンバーのみなさん、本当にお疲れさまでした。そしてありがとうございましたー。

またワクワクすることやっていきましょう!

ニュースレターはじめました。テクノロジーと国際開発(ICT4D)に関する新規ブログ記事・海外ニュース・イベント情報などを月1〜2回発信しています。以下フォームからご参加ください。詳細はこちら

Kanot
フォローする
アカデミック
ICT for Development .JP

コメント

タイトルとURLをコピーしました