「デジタル技術と国際開発」オンラインコース・システムデザイン編開催!- 情報に価値を生むシステムデザインとは? –

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マンチェスターからこんにちは!標記コースにて講師を務めた石けんです。

ICT4D Labでは、マンチェスター大学MSc Digital Development (旧: ICTs for Development)の教科書とも言える「Information and Comunication Technology for Development (リチャード・ヒークス教授著)」を翻訳し、書籍「デジタル技術と国際開発」を出版しました。そして、本書の解説と事例に基づいたディスカッションによる理解の促進を目指し、7月2日に第1回オンラインコース(トライアル)を開催しました。

今回は、トライアルを活かした第2回「システムデザイン編」の開催報告です!今回もネタバレしない程度の“ちょこっと紹介”ですので、もっと詳細を知りたい…議論を通して知識を深めたい…という方は、第3回以降にぜひご参加ください☺

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前回トライアルから4ヶ月程度のお時間をいただき、11月19日に開催した本コースには、トライアルからの連続参加者を含め、7名での開催となりました。

「CIPSODARモデル」を理解しよう!

今回は、第1回の講義内容(1.ICT4Dの定義 2.Socio-Technicalアプローチ 3. オニオンリングモデル)を振り返った後、書籍「デジタル技術と国際開発」第1~2章を基に、情報バリュー・チェーンCIPSODARモデルの講義を行いました。同モデルは、講師をした私自身にとっても、マンチェスター大学院の情報システムをデザインする課題で重宝しました(すでに懐かしい…)!

教科書では「データは情報となって初めて価値を持つ。その情報は、行動を取るという意思決定に適用されて初めて価値を持つ。」とされており、そのプロセスを「情報バリュー・チェーン」と呼びます。さらに、そのプロセスは、CIPSODARと呼ばれるステップで構成されます。つまり、ただデータを集めるだけでも、ただ情報を対象となる人々に届けるだけでも、不十分。そのデータが対象者となる人々にとって情報となり、その情報を用いて彼・彼女らが意思決定、行動に繋げることができるように情報システム(中核的情報システムの外も)をデザインすることが重要です!

※CIPSODARは、収集(Capture), 入力(Input), 加工(Process), 保存(Store), 出力(Output), 意思決定(Decision), 行動(Action), 結果(Results)に分解できます。

「CIPSODARモデル」で分析しよう!

小難しいモデルの説明で頭が混乱した後は、実際にモデルを使って理解を深めましょう!参加者+ICT4D Labメンバーのグループに別れて、ケーススタディを使ってCIPSODARモデルを実践的に勉強しました。ケーススタディの題材は、AgriTech(ICT×農業)私が授業で教わった事例を軸に、他の文献からの情報を組み合わせ、ケースとしました。

架空の設定として、参加者の皆さんは、とある途上国で、農家間の情報格差の是正及び、農業の成功を目指して、ICTを利用したプロジェクトを開始。具体的には、農家にとって有益な情報を携帯電話を使って農家に届ける情報システムをデザインしました。天気や害虫対策、市場価格の情報を配信し、農家の収穫量の増加や廃棄の削減、売値の適正化、収入の増加を目指します。しかし…想定した効果が出ていない地域が散見されました。そこで、皆さんは、CIPSODARモデルを活用し、原因を特定し、プロジェクト改善に動き出します!皆さんなら、以下の質問に対して、どのように答えますか?

  • 現状をどのようにCIPSODARに分解しますか?
  • 現状のCIPSODARのどの部分に課題がありそうですか?
  • 課題に対してどのように対応できるでしょうか?

このように、グループワークでは、付箋等を使って、ざっくばらんに話し合ってもらいます。

参加者同士で楽しく交流しよう!

そして最後は、CIPSODARモデルでの分析を基に、ディスカッションや質疑応答を行いました。質疑応答や意見交換は、終了予定時間を超えても続き、ICT4D Labメンバーも参加者の皆さんから学ばせていただきました。

以下、意見交換で共有した過去のICT4D Labブログです。ご参考まで。

コース終了後、参加者からは「CIPSODARモデルを用いて、発展途上国における情報システムを用いた課題解決スキームを理解すると言うケーススタディは、モデルの理解を深めるために大変効果的だと思った。」「農業分野での国際協力で悩んでいたが、知見を共有していただき、頭の整理が少し進みました。」や、海外プロジェクト未経験の参加者からは「多く学びや刺激を得ることができた。」といった感想をいただきました。その一方で、「本を読んでいなかったので少し難しかった。」といった感想も。貴重なご意見ありがとうございます!
また、ディスカッション時間が短く、十分に議論できていないグループもありました。これらの皆様の声や反省を活かし、第3回目以降のオンラインコースを企画していきます!ICTや開発分野のバックグラウンドが無くても、マンチェスター大学卒業生やICT4D Labメンバーがサポートするので、安心してご参加ください😁

今後の勉強会については、本ブログやICT4D Newsletterにてご案内しますので、ぜひご登録をお願いします(こちら)。

また、今回のオンラインコースを含めた過去の勉強会動画をご覧になりたい方は、ぜひICT4D Labにご入会ください!(こちら

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